発売当時、結構ネットニュースなどで取り上げられていた本です。
著者の牛尾剛さんは米マイクロソフトのエンジニアとして活躍されている方。
そのような方が、「世界一流エンジニア」と共に働いていく中でたどり着いた思考法ですが、「エンジニア」という文脈で書かれてはいるものの、普遍的な内容です。
特に「思考法」的な本を読んだことのある方であれば、共通点に気づくでしょうし、その内容を現代の花形職であるエンジニアの視点から補強してくれる本となります。
それでは、『世界一流エンジニアの思考法』を読んで考えていきます。
私的要点
- 1
メンタルモデルで考える(=頭の中に「思考の型」を整備し、理解・解釈をする)
- 2
地道に基礎を積み上げることが最終的には近道となる
- 3
「Be Lazy」───選択と集中
所感メモ
「選択と集中」と「排除」
本書では、海外のエンジニアたちから学んだ、「Be Lazy」(怠惰であれ)という考え方が紹介されています。
例として、「優先順位をつけて、優先順位の高いものに集中しよう」という言葉への反応の違いが挙げられていますので、一部引用してみます。
リストに上がっているタスクが五つあるとして、「全部はできないから、優先順位をつけて、どうしてもできないものは無理だから実施しないようにしよう。でも時間が許せば全部実施したい」と。
ところが、同じ言葉に対して海外のメンバーなら、図の右側のようなイメージをもつ。「最初の1個をピックアップしてやったら他はやらない。その一つにフォーカスしよう」という感覚だ。
『世界一流エンジニアの思考法』P.60より引用
「選択と集中」の「選択」には当然、選択したもの以外は排除するという意味合いも含まれています。ただ、本書では特に「やることを減らす」ことの価値に言及されています。
やはり、エンジニア的には「より少ない時間で、より大きな成果を出す」が求められますので、そういった視点を持つようになるでしょうか。
- 目標を達成する
- 成果を出し続ける
こういった目的の違いが、同じ「選択と集中」と言っても少し違った点に着目するというのは大変興味深いと思います。
「見極める」力
エンジニアとしては、必然的にチームで働くことになるものです。
そこで、本書には「コミュニケーション」についても多数言及されています。
中でも、相手の質問にいつも的確な回答をしてくれる優秀な社員のメモの取り方について言及された部分を一部引用してみます。
私がメモを取るときは、つい「自分用の、自分がわかるため」の書き方をしがちだが、彼女のメモは、見る人が欲しい情報はこれだろうという形で整理されている。
世界一流エンジニアの思考法』P.139より引用
これは、人間社会で生きるすべての人に通ずる教えでしょう。
- 日常生活での会話についても
- SNSでのやり取りについても
- このブログについても
同じことが言えると思います。「相手が求める情報は何だろうか?」という視点も持ち続けることで
- 他者とのコミュニケーションを迅速にする
- 自分自身の理解を助ける
ということでしょう。
また、少々打算的な考えにはなりますが、誰かの困りごとに対して的確な回答ができるような人物であれば、自分が困った際にも周囲の援助を得やすくなるでしょう。
AIとの距離感
やはり、IT業界に最前線で働く以上、AIとの距離感についても言及されています。
「AIに仕事を奪われる」という、新しい技術が世に出たときの定番の謳い文句に不安を抱えている方もいるでしょう。
著者のメンターのSNSへ書き込んだ内容が、紹介されていましたので引用します。
「いいトリックがあって、自分が何年も頑張ってきたコンテキストで、どうやったらAIとアラインできるか見つけ出して、そこから行くんだよ。それはたぶん、多くの分野でとてもインパクトがある。大勢の人たちにとって、たくさんの機会が存在するよ」
『世界一流エンジニアの思考法』P.239より引用
- コンテキスト=context、文脈
- アライン=align、整列させる、一致させる
自分が積み上げてきたものとAIの調和を図ろうということですね。
ただただ、現状を不安視していたところでAI技術があなたに忖度して身を引いてくれることはありません。(国が規制する等あれば別ですが)
私は、むしろ積極的に新しい技術に接することで、自分の仕事・生活に生かすアイデアを探す方が有意義であるという解釈をしたいと思います。
不安があるなら尚更、思考・行動を止めないことが自分を救うということですね。
この内容をどう生かすか
メンタルモデルの獲得
私的要点1にも書きましたが、世界一流エンジニアたちが、複雑な物事を素早く理解するための手法として
「メンタルモデル」を通して考えること
が挙げられています。「思考法」や「フレームワーク」と言い換えてみてもいいでしょう。私は「思考の型」という表現を使いたいと思います。
その型を通して事象を見ることで理解を容易にしようということですね。
「思考の型」の獲得のために私が考えた方法は以下の通り
- 現状の自分の「思考の型」を把握する
- 様々な思考法を知る
- 自分に合ったものを実践する
まずは、現在自分がどんな流れで思考しているかを把握することが大切だと思います。既に人間は何かしらの型を持って世界を見ています。それを明確にしたうえで、「どんな思考法を取り入れるか」を考えるのが良いでしょう。
私もまずは、様々な「思考の型」に触れていこうかと思います。その中から自分にあったものを取り入れていきたいですね。
アジャイル開発的な実践
アジャイル開発をご存じでしょうか?
- アジャイル=agile、機敏な、素早い
仕様に優先順位をつけ、
上から順に 短い期間で「作る→試す→直す」 を繰り返す開発手法です。
何もソフトウェア開発に限らず、様々なことに生かすことができます。
- とにかく着手する
- PDCAサイクルを短期間で複数回転させる
ということです。特に"CとA=評価と改善"に早い段階で、かつ何度も到達できることが非常に重要な意味を持ちます。
勉強にしても、仕事にしても、ビジネスにしても「さっさと初めて、何度も改善を繰り返す」。これで上手くいかないほうが難しいのではないでしょうか?
私はすでにこのブログをはじめました。あなたも何か知ら温めているアイデアがあるなら早い段階でテストしてみるのが良いようです。
関連する読書メモ
・『エッセンシャル思考』
「選択と集中」、「見極める」等、本記事で取り上げた内容と似たことを書いています。併せて読んでいただけると嬉しいです。
気になった言葉
後日調査したらリンクを追加予定です。
- アジャイル開発
- コーネルメソッド
ひとこと
マイクロソフトで働くエンジニアが書かれた本というだけあり、非常に整理されています。
冒頭にも書きましたが、「思考法」系の本の教えに新しい視点を提供してくれる本ですので、ぜひ一度ご自身でも読んでみてください。
