その山を見上げて

読書と思考を積み上げていきます。

『教養としての「世界史」の読み方』──歴史との接し方を考える

「世界史」を学びたい欲求がありました。理由としては本書のタイトルにもある通り、「教養として知っておきたい」という思いからです。

しかし、日本で言う「世界史」という言葉は、「日本以外の歴史」ということです。
こう言ってしまうと、極めて範囲が大きく、手の付け所が分からないものです。

そこで本書を見つけ、何か学び始めるヒントは得られないかと思い、手に取ってみました。

それでは、『教養としての「世界史」の読み方』を読んで、何かヒントが得られないか考えてみます。

この本について
『教養としての「世界史」の読み方』の書影
『教養としての「世界史」の読み方』
著者
本村凌二
訳者
-
出版社
PHP
発行日
2016年12月16日
※書影は出版社公式サイトより引用
目次

私的要点

  1. 1

    愚者は経験に学び、賢者は

  2. 2

    日本とローマ人はともに「オリジナルより優れたものを作り出す能力」を持っている?

  3. 3

    「歴史は繰り返す」の対象は今まさに起こっているかも

所感メモ

私が気になった内容を2つほど書いてみます。

文明の発生と大河

四大文明」という言葉は日本独自のものであるというのは有名です。(本書でも言及あり)しかし、取っ付きやすいのでここではこの書き方をします。

四大文明」のような大きな文明はすべて大河の畔で始まっていることについて

その大きな要因が「乾燥化」であるということです。

関連する記述を引用します。

(『もういちど読む山川日本史』という本に記述がないという文脈に続きます。)

 なぜ明記されていないのかわかりませんが、現在、学者のあいだでは、文明の発祥に乾燥化が深く関わっていることは、ほぼ認知されています。

 事実、前五〇〇〇年頃から、アフリカの北部から中東、ゴビ砂漠を通って、中国に至るラインで、乾燥化が始まっています。

『教養としての「世界史」の読み方』P.50より引用

それ以前のサハラ砂漠は緑に覆われており、乾燥化による砂漠化により住処を追われることになりました。そして、「水」を求めて川のほとりに人類が集まり、大きな都市→文明が形成されたということです。

最近私は、人類が狩猟採取生活をやめて定住するようになった悪影響というような記述に触れる機会が多く、その一因として興味深く思いました。

ローマと日本の共通点?

戦後の日本は欧米に「追いつけ追い越せ」で、海外の製品を独自に改善し、高品質で安い製品を世界に送り出してきました。

「Made in Japan」のに対する海外の評価が「安かろう」から「高品質」に変わっていったという話は有名ですよね。

ローマ人も似たような能力を持っていたといいます。

ローマ人もエトルリアギリシアなどから、いろいろなものを学習しているのですが、ただ学ぶだけではなく、彼らも日本人同様、「磨き抜かれた、洗練された」といったソフィスティケートしていく能力がとても高いのです。

『教養としての「世界史」の読み方』P.38より引用

現代日本を生きる我々もまだこの「ソフィスティケート」能力が高いと言えるでしょうか?この記述に恥じないよう、学ぶだけで終わらない意思を持ち続けなればなりませんね。

この内容をどう生かすか

あくまで、「世界史」を学ぶためのヒントを得るために本書を開きましたので、どう生かすかと言えば「次に何を調べるか?」となるのですが、1点気になる内容がありましたので、書いておきます。

なぜ古代ローマ産業革命が起こらなかったか?

十八世紀のイギリスで起きた「産業革命」について、蒸気機関の発明がその正当であり、大きない要因だったという認識があると思います。

しかし、ローマ帝国の時代にも蒸気を動力に変換する仕組み自体は存在していたといいます。それなのに、なぜ産業革命が起こらなかったのか?

この理由についての記述を少し引用してみます。
※黄色マーカーは私が独自に引いたものです。

 奴隷がいたためにそこまでの技術革新をする必要がなかったということです。労力が必要なことは、苦労してシステムを構築するまでもなく、奴隷にやらせれば済んでしまった。それが、知識を持ちながらローマ帝国産業革命が起きなかった理由だと考えます。

『教養としての「世界史」の読み方』P.166より引用

現代ではもう奴隷制は存在しません。しかし、これと似た構図はどこかで見覚えがないでしょうか?

そう、現代日本の「外注」の文化です。

日本の技術力が「低下している」または「世界市場へのアピール力が弱まっている」こういった言説は良く述べられていますし、漠然とそう感じている方も多いと思います。

特に日本は現在、文ソフトウェア技術者の数が不足しており、どこも高額で外注せざるを得ない状況となっています。

先日記事を書いた、『世界一流エンジニアの思考法』という本でも言及されていました。

bookandthink.com

関連する記述を引用します。

安く「下請け」企業に丸投げする「中抜き」ビジネスのうまみを知ってから、日本の大手企業の技術力は坂を転がるように衰退していった。ITに限らず、多くの企業で同様の構図が見受けられる。

『世界一流エンジニアの思考法』P.262より引用

まさに今、ローマ帝国と同じことが起こっている可能性があります。

プログラマといえば「ブラック」「キツイ」という印象と結びついていますよね。ソフトウェアエンジニアの労働環境を改善し、ソフトウェア開発は「安い下請けがやるもの」という価値観を払拭しないと、日本の産業でローマ帝国の滅亡と同じことが起こってしまう危険性があるということでしょうか。

関連する読書メモ

・『世界一流エンジニアの思考法』

「この内容をどう生かすか」で引用した本です。マイクロソフトプログラマとして活躍する著者の目線から日本と海外の開発現場の比較が見られます。

bookandthink.com

気になった言葉

後日調査したらリンクを追加予定です。

ひとこと

「世界史」学習の第一歩として非常に楽しく、興味深く読むことができました。

歴史研究の性質上、どうしても「著者の持論」的な側面が存在することは否定できませんが、それを差し引いても「世界史」を学ぶ意義を少しだけ知ることができたように思います。

歴史に限らず、何かを学習するということは、様々な見解に触れることが重要です。
そのため、本書一冊で終わらせることなく、今後も歴史に関する本を読んで積み上げていこうと思っています。