フランスの高校生は「哲学」が必修科目になっているといいます。
日本の高校ではあくまで社会科科目の一つといった認識でしかなく、哲学教育に力を入れているとはとても言えない状況ですよね。
では、フランスではなぜ「哲学」教育に力を入れているのか?それは「考える方法」「思考の型」を学んでもらうためです。
考えてみれば、日本の学校で「考える方法」のような内容を教わった経験はあまりなかったように思います。ではフランスではどうなのか?
『バカロレアの哲学 「思考の型」で自ら考え、書く』を読んでフランスの哲学教育の本質を少しだけ考えてみます。
私的要点
- 1
今、世の中は「正解が一つとは限らない」問題に囲まれている
- 2
様々な問題に対して「思考の型」を使って考えることを学んでいる
- 3
自分で考え、意見を持ち行動する「市民」を育てることが目的
所感メモ
「思考の型」
何といっても本書を読んで心に残ったのはこの言葉でした。
結論を書いてしまうと、フランスの高校生たちに哲学が必修とされているのは「思考の型」を使って考える方法を学ばせるためということでした。
つまり、私個人的なまとめとしては
- 科目の目的としては、「哲学」そのもの学習ではない
- ソクラテス、プラトンといった哲学者の考え方を「材料」として提供し
- 「答え方の型」を覚えさせ(「導入」「展開」「結論」等)
- 問題に対して「自身の意見」を持てるようにする
これが本質のようです。
日本の高校では「倫理」に該当するでしょう。高校の学習指導要領を確認してみます。
(2)自立した人間として他者と共によりよく生きる自己の生き方についてより深く思索する力や,現代の倫理的諸課題を解決するために倫理に関する概念や理論などを活用して,論理的に思考し,思索を深め,説明したり対話したりする力を養う。
文部科学省 高等学校学習指導要領(平成30年告示)より引用
https://www.mext.go.jp/content/20230120-mxt_kyoiku02-100002604_03.pdf
難しい文章ですが、似たような記述はありました。しかし、扱われる問題の形式は大きく異なるでしょう。
(自分は高校卒業して久しいため、「今は違うよ!」等あれば教えてください。)
本書でサンプルとして提示されている問題を引用します。
この本では、次の三つの問題について考えます。
労働はわれわれをより人間的にするのか?
技術はわれわれの自由を増大させるのか?
権力の行使は正義の尊重と両立可能なのか?
『バカロレアの哲学 「思考の型」で自ら考え、書く』P.001より引用
こんな問題が出てきたら面食らって「え?」となりますよね。私はどこから手を付けていいかすらわからず途方に暮れること間違いなしです。
そこで、「思考の型」の登場ということです。詳細は本書を直接読んで確認してほしいですが、例えば
- 「労働」とは?「自由」とは?という言葉の定義
- 「はい」「いいえ」で答えられる問いに変換
- 細部を詰め、別の問いを立てる …
といったようなもの。実生活で考えるとしても、
まず、この「思考の型」を持っているか否かで問題に対する「初動の速さ」が全く異なるであろうことは想像がつきます。
そして、「思考の型」を使うことに慣れていれば、最低限品質の保証された「自身の意見」の完成までたどり着けてしまう、ということにもなります。
これに高校の必修で触れるメリットは計り知れないでしょう。
前提として日本の「倫理」が間違っていると言っている訳ではありません。
- こういった取り組みをしている国があること
- 「思考の型」という方法があること
こういった事実を知っておこうというお話です。
ただ、フランスの高校生たちも大変苦労しているようで、「哲学」の成績は年々低下しているということも述べられています。たとえフランスでも高校生は高校生なんですね。
この内容をどう生かすか
「思考の型」を探す
所感メモにも書きましたが、「思考の型」を持ち、使い慣れていれば、
- 問題に直面した際に「初動」が取れる
- どんな情報を得るべきか想像できる
- 型に従って最低限「自身の意見」を完成させられる
こういった利点があります。
そのため、私は現在、様々な「思考の型」について調査をしています。その後自分に合いそうな型を取り入れてみる予定です。
まずは本書を読んでみてはいかがでしょうか。
「思考法」と「思考の型」は違う?
本ブログでも『エッセンシャル思考』は取り上げており、私も実践中です。
これも一つの「思考の型」ではないのか?と思ったのですが、
- エッセンシャル思考:行動・計画指針
- 本書で言う思考の型:フレームワーク、テンプレート
といった感じで、若干性質が異なるように感じました。そのため、これからも「思考法」、「思考の型」の調査を進め、両者の違いを言語化できないか探ってみようと思います。
関連する読書メモ
・『世界一流エンジニアの思考法』
この本でも「メンタルモデル(≒思考の型)を使って考えよう」という主張が登場します。
気になった言葉
後日調査したらリンクを追加予定です。
- VUCA
- 思考の型
ひとこと
ブログを書き始めて改めて意識しましたが、
- 最後まで考えること
- 意見を持つこと
これらが出来ていないことを自覚し、反省する毎日です。
ただ、本書の「バカロレア」のように、方法論として学べるものであるという事実を知ることができました。
これからも「思考の型」の探求を続けてみます。
