本書を読んだのは少し前ですが、私の大好きな本です。
「読書」に関する本はたくさんありますが、「遅読家のための」というのは初めて見たように思います。
著者は年間700冊以上の書評を書いているという書評家の方です。当然、最低でも700冊は本を読んでいる、ということになります。
この分量に追い付くのは並大抵のことではないでしょうが、私も本を読む→ブログを書く、ということをしている人間として本書の手法はとても参考にしています。
今回は『遅読家のための読書術 情報洪水でも疲れない「フロー・リーディング」の習慣』を読んで、「書評家の読書法」を学びます。
私的要点
- 1
1週間かけて読んだ1冊から1%しか吸収できないなら、1週間で10冊素早く読んで10%得たほうがいいのではないか
- 2
「聞き流す」ように読み、自分の心に残った内容こそ「自分に必要なもの」
- 3
最も素晴らしいと思った「1文」をメモしておく。この「1文」の積み重ねが「自分のストーリー」となる
所感メモ
1冊の本を「全てを吸収」はできない
まず、本書で何よりも押さえておくべき内容はこれだと思います。
私たちは意識的、無意識的を問わず、
「本の内容を1つでも多く吸収してやろう」
という思いをもって本を読んでいるのではないかと思います。私も含め、特に「教養本」「ビジネス本」のような本を読んでいる方は、少なからず「学ぼう」という目的のために読書をしているはずです。
そのため、変に肩に力の入った読み方になっている傾向はあるでしょう。これについて本書での記述を引用してみます。
1冊の本を1週間かけて熟読しても、1か月後には「1%」しか残らないのだとしましょう。だとしたら、同じ1週間で10冊の本をすばやく読んで、1年後に「10%」を得たほうがいいと思いませんか?
1冊を深く読むのではなく、たくさんの本から「小さなかけら」を集めて、「大きなかたまり」をつくっていく。それが遅読家の人に決定的に欠けている発送なのです。
『遅読家のための読書術 情報洪水でも疲れない「フロー・リーディング」の習慣』P.39より引用
これが私を変えてくれた「1文」です。なんだか肩の力が抜けたような気がしませんか?
確かに読書は「学ぶため」に始めたものではあります。でも、「1冊の本に固執する必要はかった」ということです。
- 時代の違い
- 文章との相性
- 見解の不一致
こういったものによって「合わない」本というのは確実にあります。こういった本に必要以上に時間をかけていたら読書が楽しくならないのも無理はありません。
逆に、「すごくいい本だ!」と思ったとしても、本当に心に残ったのは特定の1文だったりすることだってざらにあるでしょう。
それでいい。それを積み重ねていきましょう。
確かに、本当に大切な内容であれば必ず別の本でまた出合います。別の本で改めて言及されることで「ハッ」とすることもありますし、本当に「その著者だけが知っている内容」なんてものあまりないのかもしれません。
気になった「1文」を積み重ねていく
先程も私は「1文」という表現を使いました。これは本書から学んだ内容です。
本を読む醍醐味について言及されている文章を引用してみます。
著者の書いている「神は一分に宿る。」という連載で、毎回「1冊から1文を取り上げていた」という記述からつながります。
書き手としてこの試みに魅力を感じるのは、「『心に残ったフレーズ』に出会うすばらしさ」を改めて意識することができたから。毎日、仕事でいろんな本を読み続けていると、知らず知らずのうちに読書のありがたみを忘れかけてしまうことがあります。
でも本の醍醐味って、「そういう1行、もしくはフレーズ」に出会うことにあるのではないでしょうか?
遅読家のための読書術 情報洪水でも疲れない「フロー・リーディング」の習慣』P.96より引用
これもまた私の大好きな内容です。
こういう目線で読書が出来ればとても楽しくなりますよね。しかも、著者の言う通り、こうして心に残った内容こそが本当に「読書かられたもの」なのかもしれません。
また、これの実践として「1ライン・レビュー」というものが提唱されています。
引用がしづらい構成だったので、私が掻い摘んで書きます。詳細はぜひ直接本書を読んでみてください。
①1ライン・サンプリング
A4用紙に「ページ数 気になった1文」を書き出していく
②1ライン・エッセンス
その中から「最も素晴らしい引用」を選ぶ
③1ライン・レビュー
「1ライン・エッセンス」を選んだり理由を書く
将来的に、この「1ライン・レビュー」が大量に積み重なることで、「自分の傾向」「自分の志向」といったものが見えてきます。
著者はこのような読み方を「宝探し」と例えていますが、こうして「自分が感動した1文」を探し求めて読書をするという発想はとても楽しく、そして無理なく読書に取り組めるようになるでしょう。
この内容をどう生かすか
1ライン・レビューをやってみる
- 1ライン・サンプリング
- 1ライン・エッセンス
- 1ライン・レビュー
という流れが提唱されていると所感メモに書きました。素直にこれを実践してみるのが良いと思います。
私もこれを実践しています。本を読む際には気になった1文をメモしていき、その理由を文章にします。
ただ、私は少しずつそのレビューが膨れ上がっていき、現在ではブログとなっています。本書の内容ド直球の方法ではありませんが、この手法がブログ開始のきっかけの一つとなりました。
「シントピカル読書」を知っておく
『本を読む本』にて提唱されている読書の最終レベルです。
本書では、「適切な流し読み」でペースを上げ、「これ!」という1行を探すような読み方で読書ペースを上げる方法が提唱されています。
- 「1文」の蓄積→何が見えるか?
という構造ということですね。これに対して「シントピカル読書」は、
- 主題を設定→それに関する本を複数読んで結論を出す
本書と逆の構図になっているわけですね。
これら両方の読書法を意識的に使いこなせるようになれば立派に「読書家」と言えるのではないでしょうか?
また、1ライン・レビューの結果見えた「自分の関心事」に対して「シントピカル読書」を適用してさらに深めていくのも良いと思います。
これもまた、私の「1ライン・レビュー」から生まれた「再結合」的考え方です。
関連する読書メモ
・『本を読む本』
先述の「シントピカル読書」が提唱されている本です。また、本書での「サーチ読書法」に相当するような内容も登場します。「読書」について考える際にはぜひ読んでおきたい一冊です。
気になった言葉
後日調査したらリンクを追加予定です。
- 書評
ひとこと
先程も書きましたが、このブログを始めたのも、本書に従って読書メモを貯めていった結果、「発信してみたい」と思ったことがきっかけだったりします。
また、私は著者印南さんの考え方や文章がとても好きです。
とてもやさしく、読書に対して肩の力を抜けるような内容となっています。「読書」について悩みを持っている方であれば、確実に一読の価値があると思っています。
他にも、
- 読書を習慣にする方法
- 貯まった本の手放し方
といった内容もあり、「読書エッセイ」として読んでも楽しいと思います。
