その山を見上げて

読書と思考を積み上げていきます。

『頭のいい人が話す前に考えていること』──社会的知性と思考の深さ

とても魅力的なタイトルです。

本ブログは「自分の浅さを埋めるため」に始めています。本書はその目的達成にかなり近づくような手法を提供してくれる本でした。

先に書いてしまうと、私は読んでよかったです。

今回は『頭のいい人が話す前に考えていること』を読んで、「頭の良さ」について学びます。

書籍情報
『頭のいい人が話す前に考えていること』の書影
『頭のいい人が話す前に考えていること』
著者
安達裕哉
訳者
-
発行日
2023年04月
※書影は出版社公式サイトより引用
目次

この本について

どのような本か

著者のコンサルとしての経験をもとに

  • 頭がいいとはどういうことか?
  • 考えを深める方法
  • 相手の話を聞く方法

こういった流れで「頭のいい人の思考法」に対する著者の見解と「いかにそれを身に着けるか」という説明が展開されていきます。

どんな人に向いているか

  • 自身の思考が浅いと感じる人
  • コミュニケーションに悩んでいる人

私的要点

  1. 1

    「頭がいい」かどうかは相手が決めること。そのためコミュニケーションの改善は必須

  2. 2

    社会で活躍してく人の学び方は「”実践”から学ぶ→”知識”で復習」を行き来する

  3. 3

    言葉の定義や成り立ち、その周辺知識を学ぶことが思考を深めることにつながる

所感メモ

本書を選んだ理由

冒頭にも書きましたが本ブログの目的「自分の浅さを埋める」の達成に明確な方法を示してくれるのではないかと思い手に取りました。

感想

前提として、私は基本的に「コンサル流テクニック」といった類のものが嫌いです。

その手の本を見ると「打算的すぎる」という思いが出て来てしまいます。コンサルの方々はそれが仕事でやっているのですから、打算的で当然なのですが…

本書もコンサル経験をもとに書かれた本ですが、そういった部分を含めたとしても読む価値があると言えるほど学びを得られました。

耳が痛くなるような、まさに自分が陥っていた失敗事例が数多く書かれており今後の行動指針を改めなければ、と思わされる場面も多かったです。

そして何より、巻末の参考文献の記載が大変充実しているのが素晴らしいと思いました。今後、ここから何冊か読んでみます。

「言葉」に敏感になる

本書のタイトルでもある「頭のいい人が話す前に考えていること」

これについての記述の中で、個人的に一番良いと思ったものを上げておきます。

それは「言葉に敏感になること」もう少し足すと

  • 言葉の定義を明確にする
  • 言葉の成り立ちを知る

この2つが挙げられています。

私もできる限り行うようにはしていますが、おそらく本書の著者と比べると全く足りていないのでしょう。

これら2つとも大事にしていきたい内容ですが、ここでは”定義を明確にする”について取り上げてみます。わかりやすく説明された記述がありましたので引用してみます。

 頭のいい人は「この言葉を使ったら相手がどのような意味にとらえるか」まで想像して言葉を選び、定義が曖昧な言葉は使わないか、言葉の定義をはっきりさせることから始めます。

 つまり、”ちゃんと考えてから話す”とは、相手が受け取る言葉の意味を想像し、できるだけ定義の齟齬が出ないように話すということです。

『頭のいい人が話す前に考えていること』P.155より引用

現在の私には「これが本書のタイトルの核心ではないか」とすら思えました。

私も普段から考えなしに言葉を発してしまい、想定と違う意味にとらえられてしまうということが良くあります。

それに気づいてから「そういう意味じゃなくて…」と補足することになってしまうんですよね。

・話す前に、自分が使おうとしている「言葉の定義」に注意する。

・普段から「言葉の成り立ち」にも敏感になっておく。

これは少しずつでも今日から実践していきたいと思いました。

マーケティング本」と「実践」

最近私は「マーケティング」系の本を読むようにしています。

目的としてはマーケティングそのものというよりも、ブログ運営のためのヒントが得るためです。

本書でも著者がマーケティングを学んでいた時のことが書かれており、「これは!」と思った記述がありましたので引用してみます。

(前略)コンサルタントになりたてのころは、マーケティングの専門書を読んでも、正直なところ意味が分かりませんでした。当時は”わかったような気”になっていましたが、今振り返ると全然わかっていなかったと思います。

 それが、コンサルタントとして3年ほど経験を積んだあと、家の本棚にあったマーケティングの本を手に取ってみると面白いほど理解できたのです。

『頭のいい人が話す前に考えていること』P.65より引用

”わかったような気”になっていた。というのはまさに今の私が陥りそうになっている状況ではないか?と思いました。

余り引用連発はしたくないのですが、もう少しだけ

 実践する前にマーケティングの専門書をどっさり買って読む行為は、学校的知性を発揮する行為です。学歴が高い人は学歴が高い人はこの学校的知性を発揮するのが得意な傾向にあります。しかし、仕事で実践しながら、他人との関わりの中で発揮するのが社会的知性です。本当に頭のいい人はこの学校的知性と社会的知性を行き来しています。

『頭のいい人が話す前に考えていること』P.65-66より引用

「学校的知性」「社会的知性」という言葉が出てきました。これだけでは意味が分からないと思いますので、説明文も引用しておきます。

学校的知性

IQや偏差値、論理的思考、記憶力など、数学やテストで測れるもの

社会的知性

数学やテストでは測れないもの
他者の思考を読み、信頼を得て、他者を動かす能力

頭のいい人が話す前に考えていること』P.63より引用

”実践”と”学習”が合わさって初めて本当の意味で身になるという解釈でいいでしょうか。

著者は

  1. 分からないなりに本を読む
  2. コンサル業務で”実践”を積む
  3. 再度本で確認をする
  4. さらに業務で”実践”

こういった流れでマーケティングを学んでいったということですね。

私もマーケティング本を読むにあたり、毎回どうやって”実践”に落とし込むか考えています。(無理やりひねり出しているだけですが)

私には現在この「社会的知性」に該当する部分が足りていないことが明白ですので、この流れを意識しつつ、もう少しマーケティングについて学んでみたいと思います。

結論

  • 社会的知性と思考を深める工夫、傾聴の姿勢がコミュニケーションを変える
  • 自身の浅さに悩む人は読むべき一冊

発展を考える

「思考の型」との付き合い方

私は現在「思考の型」について情報収集をしています。

本書自体は「思考の型」に直接関係する本ではありませんでしたが、その付き合い方について気になる記述がありましたので、今後のために残しておきます。

(前略)大事なのは、「型」はあくまで、考える”きっかけ”ととらえることです。型に当てはめて、自分の考えの欠点に気づくことができれば、より思考を深めることができます。

『頭のいい人が話す前に考えていること』P.105より引用

守破離”という言葉があるように、「思考の型」もまた道具でしかないということ。

型を使えばそれで完了ではなく、

「型を適用して得られた結果」を使ってさらに思考を深めていく

おそらく思考法の本には大概書いてある内容ではあります。

ただ、これからも「思考の型」の調査は継続していく予定ですので、「型」コレクターで終わらないように気を付けなければと思いました。

関連する読書メモ

・『センスは知識からはじまる』

本書の思考とかなり近しい考えで書かれた本ではないかと思いました。この本でもデザインをする際に「周辺知識をしっかり調べること」を推奨していました。

「思考法」的な面でも合わせて読む価値があると思います。

bookandthink.com

・『ドリルを売るなら穴を売れ』

私が「マーケティング本は実践が難しい」と感じ始めたのはこの本からでした。記事内で何とか日常生活に落とし込めないか考えつつ、頭を抱えた痕跡が残っています。

bookandthink.com

・『バカロレアの哲学』

フランスの高校生は「哲学」が必修となっており、それは哲学を題材として「思考の型」を身に着けさせることが目的だ、という本です。

私は私はこの本から「思考の型」を以下のように定義しました。

  • 思考の「初動」を助けるもの
  • 最低限の「自分の意見」を作れるもの

bookandthink.com

気になった言葉

後日調査したらリンクを追加予定です。

  • SQ(Social Intelligence Quotient)社会的知性

ひとこと

本書には本の内容をまとめたシートが付属しており、著者も「読み返さなくていい本」を目指したと書いています。

しかし、個人的には本書は逆に部分的にでも「読み返す価値がある」と思いました。

著者の思いとは違ってしまいますが、私は日常生活の中で本書の内容に引っかかる部分があったら辞書的に読み返そうと思います。