アジャイル開発とは、ソフトウェアを中心に採用されている開発手法でであり、
仕様に優先順位をつけ,上から順に
- まず短期間で動くものを作る
- それを繰り返し改良していく
という考え方の開発手法です。
これはマイクロソフトはじめ、世界の名だたるIT企業が取り入れている開発手法ですので、詳しく学んでみる価値があるでしょう。
そして何より、概念を上手く取り入れられれば個人の学習やビジネスにも効力を発揮すると考えています。
今回は『アジャイル開発とスクラム』を読んで、アジャイル開発について学びます。

この本について
どのような本か
アジャイル開発の手法の一つである「スクラム」についての解説書です。
この概念や、導入例を通して
- チームの在り方
- 組織の在り方
- これからの日本でイノベーションを起こすには
といった内容が展開されていきます。
どんな人に向いているか
- マネジメントに携わる方
- 野中郁次郎さんの主張を体系的に知りたい方
こういった方には一度目を通す価値があるかと思います。
私的要点
所感メモ
本書を選んだ理由
アジャイル開発を組織としてだけではなく、私個人の成長にも生かせないか?と考え、一番メジャーな手法である「スクラム」の解説書である本書を手に取りました。
概念的な説明を詳しく知り、本質的な理解を深めることが目的でした。
感想
後述しますが、スクラムの基本は「チーム一丸となって開発に臨む」という姿勢です。
米国のIT大手は、この手法から本質のみを上手く抽出し、開発に適用することにより圧倒的な生産性を上げています。
そのため、やはり「チーム」「組織」「リーダーシップ」といった単位での話が中心となっていました。
野中郁次郎さんの主張のまとめ本としてはとても価値があります。
こういった過程をたどりたい方にはうってつけの本となります。
とはいえ先述の通り、私としては個人でアジャイル開発の仕組みを生かしてやろうという意図で読んでます。
そして、「スクラム」はチームに主眼を置く手法ですので、若干の期待外れ感はありました。
「個人的に使う」という目的に限って言えば、アジャイル開発、スクラムに関しても『世界一流エンジニアの思考法』の方が圧倒的に「読みたい」内容が書かれていました。
そりゃ、目的が「手法を生かしたい」であれば、概念を考えている人より実際にその枠組みの中で働いている人の意見の方が何倍も価値があって当然ですよね。
「形式知」と「暗黙知」
本書の主題に必要な知識です。
同時に著者の一人である、故野中郁次郎さんの有名な主張の一つでもあります。
定義を簡単に抜き出してみます。
昔ながらの日本企業で働いたことのある方であれば
- マニュアル見てもよく分からない新人
- 人間関係と経験で切り抜けていく熟練者
こういった構図は必ず見たことがあると思います。
そして、この「人間関係と経験」といったものこそが暗黙知であり、本書で最も重要視されている概念となっています。
こういった企業では、ベテラン社員を見ていて、
- こういう経験から出てきた技を教えてほしい
- この人の知識を共有できれば最強だよな
こんなことを話をし合った若手社員も多いでしょう。
そして、それを実践する方法を考えよう!というのが本書の主題です。
そこから一歩発展し、
この暗黙知を組織内でうまく共有できればもっと生産的になる
というのが「スクラム」の基となった考えだったようです。本書1冊を通してこの内容が解説されていきますので、知りたい方はぜひ直接読んでみてください。
個人で取り入れたい考え方
ここでは私の目的である「個人で生かすなら」という観点で見てみます。
やはりアジャイル開発の「計画→実装→評価」と短期間で繰り返すという性質が一番取り入れるのに適していると考えます。
いちばん「これは!」と思った記述を引用して残しておきます。
映像制作会社IMAGICA Lab.でアジャイル開発を取り入れた際の内容です。
多くの書籍や勉強会で知識が増えるとつい頭でっかちになり、自分の状況を鑑みず、何でもできる気になってしまう。そのままチームへの導入を行ってしまうと理想と現実のギャップに気づき、失敗してしまう。そのため、いきなりすべてを始めず、少しずつ導入し、小さな成功を繰り返すことが大切だ。
この話自体がアジャイル開発の文脈に見えますが、これは「アジャイル開発という手法自体を段階的に取り入れたよ」という話です。
やはり性質上チームの話にはなっていしまいますが、チームも人の集まりである以上必ず個人でも生かせるはず。
個人で副業を始めたり、学習をしようとした場合を想定し
- 最初の情報収集は程々に
- 最小単位で行動開始
- 小さく成功体験を積み習慣化
これだけでも方法論として中々筋がよさそうです。
しかも、最小単位で行動開始するということは、早い段階で評価・改善のタイミングが訪れるということでもあります。
小さく始めて短期間で評価・改善までを繰り返すことで、柔軟な方向転換が可能となり、小さな達成と改善の繰り返しでまさに「複利で伸びる」ことができるでしょう。
結論
- チーム、組織の在り方を中心とした本
- 組織運用について考える方なら、判断材料としての価値はある
発展を考える
SECIモデルを調べたい
これまた野中郁次郎さんの開発した理論モデルです。
先程の「形式知」と「暗黙知」の相互変換を繰り返すことで知識創造が行われるという考え方となっています。
本書でもかなりページ数を最低説明されていますが、本書はSECIモデルの発案者が著者として噛んでいる本ですので、少し主観的な書き方になっていました。
そのため、改めてこのモデルについて
- 他人の目を通した評価
- 導入事例
これらを少し調べてみたいと思いました。
関連する読書メモ
・『世界一流エンジニアの思考法』
アジャイル開発やスクラムに関する記述が出てきます。著者はマイクロソフトのエンジニアであり、その現場で運用されている「スクラム」についての話を読むことができます。個人的には本書よりこちらを優先して読むことを推奨します。
・『頭のいい人が話す前に考えていること』
「頭のいい人は”社会的知性”と”学校的知性”を行き来しながら学ぶ」という主張を拾いました。本書の「形式知」と「暗黙知」の考え方と関連すると思います。
気になった言葉
後日調査したらリンクを追加予定です。
- SECIモデル
ひとこと
個人的に野中郁次郎さんの主張にあまり共感できなかったこともあり、若干良くない評価をつける結果となってしまいました。
しかし、組織運用に携わる方であれば、判断材料としては十分に価値がありますし、「スクラム」の有用性は疑いようがないでしょう。