「ギバー」、「テイカー」という言葉を耳にしたことはあると思います。言葉通り「与える人」「持っていく人」という人の性質を示すのに使われる言葉です。
本書では、この「ギバー」の性質に着目し分析が行われていきます。
「成功する人は与えている」という様な言葉はよく耳にしますが、その考え方をどう扱うかに興味がありました。
ここでは、『GIVE&TAKE』を読んで目に留まった要素を整理してみます。

- 著者
- アダム・グラント
- 訳者
- 楠木建
- 出版社
- 三笠書房
- 発行日
- 2014年01月07日
この本について
どのような本か
ジャンル
心理学
テーマ
「ギバー」の性質と成功事例に着目し、どのような条件で成功や失敗に結びつくのかを検討する
どんな人に向いているか
- 「与える人が成功する」という言葉に疑問を持つ人にはヒントになるかも
注目した要素
- 1
「ギバー」「テイカー」「マッチャー」という3タイプ
人は主たる対人スタイルを持ち、成功の仕方が異なる - 2
ギバーは成功することも、搾取されて終ることもある
成功するギバーは評判の拡散や弱い紐帯によって長期的に有利になる - 3
成功するギバーは”他者志向”であること
自分と相手の利益を合わせて考えられるギバーが成功する可能性が高い
所感メモ
本書を選んだ理由
冒頭にも書きましたが
- 成功者は寄付をしている
- 成功者は他者を思いやる
という様な言葉は聞いたことがあると思います。しかし、それがなぜかを説明できる人は少ないのではないでしょうか?
この本からその理由を考えるための要素を得られるのではないかと思い手に取りました。
また、今まで調査していた「マーケティング」絡みでも、本書が合わせて紹介されているのを目にしており、そういった意味でも関心を持ちました。(というより、読むまではマーケティングの本だと思ってました…)
「与える」人が成功する?
まず初めに、「ギバー」「テイカー」「マッチャー」について本書での定義を取り上げておきます。
・ギバー
受け取る以上に与えようとする。(P.028より)
・テイカー
常に、与えるより多くを受け取ろうとする。(P.027より)
・マッチャー
与えることと受けとることのバランスを取ろうとする。(P.029より)
本文中でも「ギバーはめったにいない」とされています。
ただし、ここで覚えておくべきこととして、誰もがこの3タイプの性質を併せ持っているということです。これは前提として忘れないようにしたいです。
そして、ギバーはその「与えようとする」性質から、搾取されて終ると思われがちですが、本書ではこのギバーの性質が長期的には大きな利益をもたらすとされています。
- 「弱い紐帯(つながり)」を維持しやすい
- チーム全体を活性化させられる
- ”天才”を育てることにつながる
- 良い印象を持たれやすくなる
確かに、「自分の利益を最優先する」テイカーの方が、世間一般的な意味での成功をつかむ可能性は高いでしょう。そして、その成功はギバーから搾取することでなされるケースも多いのかもしれません。
しかし、ギバーの持つ「相手に与えたい」「相手を助けたい」という思いはそれを受け取った人にとても良い印象を与え、それにより長期的に見ると利益をもたらしてくれるということが言われていました。
そして、それはそもそも「成功」の捉え方自体が違うことから生じる違いであるともベラれています。それが示された記述を引用してみます。
ギバーの頭のなかでは、成功の定義そのものがちょっと変わってくる。
テイカーが成功を、人を出し抜いて優れた成果を達成することだと考えるのに対し、マッチャーは成功を、個人の業績と他人の業績を後世に釣り合わせることだと考える。
一方、ギバーは成功を、他人にプラスの影響をもたらす個人的なものだと考えるのだ。
『GIVE&TAKE』P.381より引用
確かにここで言う「ギバー」の考え方をする人の方の方に好感を持つ人が多く、それに報いたいと思う人が多く現れるのはある意味当然のことなのかもしれません。
しかし、「正直者が馬鹿を見る」という様な世の中ではただただ、相手に与えることにだけ気を配っているだけだと消耗するだけして潰れてしまうのでは?というのも当然の心配ではありますよね。
そこで、次の項目です。
”他者志向”のギバーが成功する
一方的に与えるだけで終わってしまうギバーに対して、本書では「他者志向」を奨めています。
自分を犠牲にして与えていれば、すぐにボロボロになってしまうだろう。「他者志向」になるということは、受け取るより多くを与えても、けっして自分の利益は見失わず、それを指針に、「いつ、どこで、どのように、誰に与えるか」を決めることなのである。
他者への関心に自己への関心がかなり結び付けば、ギバーは燃え尽きたりやけどしたりすることが少なくなり、成功しやすくなる。
『GIVE&TAKE』P.255より引用
与えるにしても節度を持とうということでしょうか。
これはあくまでギバー向けのアドバイスとして書かれていますが、ある意味マッチャー的な性質も自分を守るために必要なのでしょう。
しかし、度が過ぎてマッチャーが根付いてしまっては意味がありませんので、やはり”節度”ですね。
1つ前の引用部にあったように、ギバーは「成功は他人にプラスの影響をもたらすもの」という様な考え方ができる人たちだからこそ、バランスを取ったとしてもギバーとしての本質を見失わずに済むということなのでしょう。
発展を考える
本書とどう付き合おうか
おそらく私はギバーではないのだと思います。それもあってか、本書との付き合い方に若干悩んでいます。
一読した今、本書から何かを学び取るとしたら
- ギバーの性質を理解し
- 与えることを評価し
- 与えることの比重を増やす
という短絡的なことしか言えないのが現状です。
ただただ、「与えることが重要だよ」と結論付けるのは何か違う気がします。しかし、だからと言って「マッチャー+αを目指そう」というのも結論としては何だかしっくり来ない。
もっと言うなら、「ギバー」「テイカー」「マッチャー」という区分がいまいち腑に落ちていない部分もありますので、もう少し考えて改めて自分の結論を出したいと思います。
関連する読書メモ
・『習慣の力』
「弱い紐帯」という概念は本書でも使われおり、習慣の力がそれに結び付いているという説明がされています。(記事では取り上げていませんが)
・『マーケティング22の法則』
マーケティング系の基本原則であると思われる「マーケティングは顧客の頭の中に働きかける必要がある」という様な考え方と、本書の”他者志向”はかなり共通点があるのではないかと思います。
気になった言葉
後日調査したらリンクを追加予定です。
- 弱い紐帯
ひとこと
面白い本でした。面白いのですが、「じゃあどうしようか?」と考えると結論が出ず、もやもやが残ってしまいました。
与えることが成功につながる → だから与えよう!
という行動をとるのであれば、それこそマッチャーど真ん中では?と思ってしまいます。ギバー的な発想ではなさそうですよね…
とはいえ、こういったことを考えるきっかけを「与えて」くれた時点で、この本を読んだ甲斐はあったと思っています。でも、もう少し継続して考えてみます