「Google車内はどのように動いているのか?」と興味があり本書を読みました。
本書で一番目に付くのは「スマート・クリエイティブ」という言葉だと思います。これはGoogleが求める非常に優秀な人材を指す言葉です。
この「スマート・クリエイティブ」についても押さえておきます。
ここでは、『How Google Works』を読んで目に留まった要素を整理してみます。

- 著者
- エリック・シュミッ,ジョナサン・ローゼンバーグ,アラン・イーグル
- 訳者
- 土方奈美
- 出版社
- 日本経済新聞出版
- 発行日
- 2025年08月04日
この本について
どのような本か
ジャンル
働き方、エンジニア
テーマ
「スマート・クリエイティブ」という人材たちを中心に組織とした組織設計を考える
どんな人に向いているか
- 現代の花形企業の仕事ぶりを知りたい方
注目した要素
- 1
採用の重要性
スマートクリエイティブを探し、妥協無く採用 - 2
スマートクリエイティブ中心の組織設計
コミュニケーション、組織構造、人事 - 3
方向性の共有
ユーザーに焦点を絞る、大きいスケールで考える、邪悪になるな - 4
データと行動主義
データに基づく決定、世に出してから手直し
所感メモ
本書を選んだ理由
Googleと言えば現代社会の覇者の一角と言って間違いないでしょう。
そんなGoogleがどんな考えのもとで動いていて、どんな人材が働いていて…という様な内容を知りたくなり、本書を手に取りました。
全てを、というのは到底無理な話ですが、Googleで働く人材の良い部分を取り入れられれば自分の価値を高めることにもつながらないかな?という淡い期待もありました。
「スマート・クリエイティブ」が中心
本書でかなり強調されている内容は「採用」についてです。
採用は人事担当だけの仕事になりがちだが、本当は組織を上げて行わなければならない重要項目だと強調されていました。
良い人材を妥協無く採用する → その人が最大修験活躍できる環境をつくる
これが本書の一つの柱になっています。
では、本書においてその「良い人材」とはどんな人とされているか。
「スマート・クリエイティブ」という言葉が使われます。これについての記述を引用してみます。
スマート・クリエイティブは、自分の”商売道具”を使いこなすための高度な専門知識を持っており、経験値も高い。私たちの業界ではコンピュータ科学者か、少なくとも日々コンピュータの画面上で起きている魔法の背後にあるシステムの理論や構造を理解している人材ということになる。
『How Google Works』P.44より引用
まだまだ続いています。
- 行動を起こせる
- 分析力に優れている
- ビジネス感覚も優れている
- 競争心も旺盛
- ユーザ目線を持っている
- 適切にリスクをとれる
- コミュニケーションが得意
等々、「そりゃそうでしょうね!」という様なラインナップですね。そして、「Googleにはそれを要求できるだけの魅力がある」という自信を持っていることの表れでしょう。
こういった優秀な人材を徹底的にこだわって採用したら次は、その「スマート・クリエイティブ」たちが最大限自由に能力を発揮できるような組織づくりを目指します。
- コミュニケーションが活発になる配置
- 自由に意見が述べられる会議形態
- 素早い意思決定
- エンジニア中心主義
- 挑戦しやすい環境づくり
まだまだ挙げられていますが主にこういった方向性でとにかく「スマート・クリエイティブ中心の組織づくり」を徹底していることが分かります。
ただ、これだけを中心としてしまうと暴走や視野狭窄に陥る危険性があるため、それを抑え込むために「方向性の明示と共有」これも重要視されているようです。
- 邪悪になるな
- ユーザーに焦点を絞れ
- 大きいスケールで考えろ
こういった目標を共有することで組織全体のかじ取りを行っているようです。
データと行動主義
データに基づく意思決定、これは理想としては誰もが考えることではありますが、本書でも明確に推奨されています。
個人的に「確かに」と思った記述を引用してみます。
データを使うと誰かを個人攻撃することにならないため、全員を議論に参加させやすくなる。参加者のうち、特に静かな人に注意を払おう。発言していない人を指名しよう。反対意見を持っているのに、人前であなたに異を唱えるのを恐れているのかもしれない(そういう恐怖は克服してもらわないと困る)。
『How Google Works』P.264より引用
日本では「自分には関係ない」と思って黙っている人も多そうですが(私含め)…
なんにしても、データを相手にすることにより
「個人vs個人」とならず「データvs全員」という構図を作り出し、全員から意見を募った上での意思決定をしようということですね。
もう一つ、データを中心とした行動主義もありました。
まずは「世に出してから手直しする」という考え方です。
プロダクトは提供する機能において最高のパフォーマンスを実現しなければならないが、当初の機能が限定的でも構わない。
(中略)
新しい機能を追加して(そして既存の機能を改良して)利便性を高めるのは、発売した後でもいい。
『How Google Works』P.399より引用
Googleは素早い意思決定ができるからこそ、限定的な機能でも素早く世に出すことができる。これもまた「アジャイル開発」的な考え方と言えると思ます。
合わせてこの世に出したプロダクトからデータを集めることの重要性も強調されています。
勝者を正確に選ぶ上でカギとなるのは、どのデータを使うか決め、それを迅速に入手し、分析するための仕組みを整えることだ。データを使うことで、”埋没費用のまやかし”に陥らずに済む。
『How Google Works』P.397より引用
素早く世に出すことができるからこそ、そのプロダクトに対するデータも素早く収集することができ、そのデータに基づいて評価・改善・撤退の判断も行える。
この仕組みがあればテスト可能な件数も爆発的に増えそうですね。そして”金脈”を見つけたらそこの集中投資する。
ウォーターフォールモデルではなかなか実現できないスピード感です。
そして、それに対応できるだけの人材がそろっているからこそ実現できるスピードでもあるのだと思いました。
発展を考える
トップIT企業の”人材”
本書では、 Googleの求める人材として「スマート・クリエイティブ」という概念を提唱しています。
この言葉自体はおそらくGoogle独自のものなのだと思いますので、深掘りは難しいですが、「トップIT企業の”人材”」という観点であればもう少し調査ができるのではないかと思います。
ひとまず、AmazonやAppleにも似たような本がないか調べて読んでみたいと思います。
最終的に、各社が求める人材の比較なんかもできたら面白そうです。
現時点の仮説ですが、求められる能力はかなり共通しているのではないかと考えています。
関連する読書メモ
・『世界一流エンジニアの思考法』
こちらはマイクロソフトでプログラマーとして働く著者の体験談を読むことができます。経営者目線の本書とは毛色が違いますが、併せて読んでも面白いと思います。
・『アジャイル開発とスクラム』
「チーム・組織重視」「世に出してから手直し」など、かなりアジャイル開発的な考え方が本書にも登場します。これもまたIT企業を考えるうえで重要な要素になると思います。(ちなみに、意識して”アジャイル”という言葉を避けているのか?と思ってしまう程本書にこの単語は出てきませんでした)
・『嫌われる勇気』
本書を読んでいて、何となくこの本の教えを連想しました。共同体感覚、他者貢献、導きの星を追いかける、など割と類似した部分があるのではないかと思います。ただ、Googleは徹頭徹尾”組織”に特化しているので、そこは対比ポイントですね。
気になった言葉
後日調査したらリンクを追加予定です。
- スマート・クリエイティブ
ひとこと
Googleという今や「世界を牛耳っている」と言っても過言ではないトップ企業の考え方や組織の在り方に触れることができました。
ただ、記事タイトルにも書いた通りなんだかとても息苦しそうに感じます。
- 常に高い基準
- 常に最適な行動
- 常に最高のフォーマンス
相手がGoogleであることもあり「本を書く上で多少脚色が入ってるでしょ」とも言い切れないのが恐ろしいです。
私は到底求められる人材とは程遠いということですね。
これからもGoogleの誇るスマート・クリエイティブたちには、我々ユーザーのために頑張っていってもらいたい思います。