その山を見上げて

読書と思考を積み上げていきます。

『サイコロジー・オブ・マネー』──経済的自立は「時間」をコントロールするために

最近「経済的自立」について考えることが多く、良くお勧めされている本書を読みました。世間では

  • 価値観が変わる
  • やばい本

みたいに大げさなキャッチコピー(?)が一緒に書かれていることも多いですが、正直そんな突飛な内容ではないと思いました。むしろとても堅実です。

ここでは、『サイコロジー・オブ・マネー』を読んで目に留まった要素を整理してみます。

書籍情報
『サイコロジー・オブ・マネー
一生お金に困らない「富」のマインドセット』の書影
『サイコロジー・オブ・マネー 一生お金に困らない「富」のマインドセット』
著者
モーガン・ハウセル
訳者
児島修
出版社
ダイヤモンド社
発行日
2021年12月
※書影は出版社公式サイトより引用
目次

この本について

どのような本か

ジャンル

お金、投資

テーマ

「経済的自立」を手に入れるため、過去の投資やお金に関する事例から「普遍的な真理」を読み取るべく考える

どんな人に向いているか

  • 自称「投資中級者」は発見が多いかも

(私自身も自称「投資中級者」だとおもいますが…)

注目した要素

  1. 1

    「経済的自立」は選択肢を増やす
    お金があると時間をコントロールできるようになる

  2. 2

    お金の「普遍的真理」を学ぶ
    「誤りの余地」をもつ、ゴールを固定する、自分のやっているゲームを明確にする

  3. 3

    自分の方針を明確にする
    お金や投資の問題は立場で回答が変わる。自分の立場を明確にし、世間に踊らされない

所感メモ

本書を選んだ理由

冒頭に書いた通りです。

「経済的自立」を意識することが増え、良くお勧めされる本書を手に取りました。

そして、大げさなキャッチコピーを付けられていることが多い本ですので、どんな内容か読んでやるか!と思った次第です。

「経済的自立」の威力

巷でよく聞くFIREの”FI(Financial Independence)”の部分ですね。

このキーワードで本書を読むと大変面白いです。

著者の父親の「経済的自立」に関するエピソードを引用してみます。

 父は救命救急センターの医師だった。これほどストレスの多い仕事もないし、冶金があるので生活リズムを整えるのも大変だった。

 医師になって20年が経過したとき、父はもう十分に役目は果たしたと判断し、あっさりと仕事をやめた。人生の次の段階に進むためだ。

 私はこの出来事に衝撃を受けた。経済的に自立していれば、自分の判断ひとつで、いつでも人生の道を大きく変えられる。

『サイコロジー・オブ・マネー』P.309より引用

これには私も衝撃を受けました。

「経済的自立」の文脈では同様の内容を耳にしたこともあったはずですが、改めてその意義を考えさせられます。

自分もこういった大胆な「選択肢を持てるように」と思います。

もう1つ印象に残った内容も残しておきます。

1.動き続けるゴールポストを止めよ

 これほど重要なスキルはないだろう。努力をして結果を手にしても、それに合わせて求める基準値を上げ続けるのなら、いつまでたってもさらなる結果を求め続けなければならない。

(中略)

求めるものが、どんどん遠くに離れていく。結局それに追いつくには、大きなリスクを取るしかなくなってしまう。

『サイコロジー・オブ・マネー』P.67-68より引用

これもまた、「経済的自立」を求めるうえで陥りそうな罠だと思いました。

  • 不安に駆られて
  • 暴落を目にして
  • インフレに焦って

基準値を引き上げることになりそうな理由はいくらでも出て来そうですし、状況に応じて計画を変更する柔軟性は必要だと思います。

ただ、それとは異なり、欲望が膨れ上がることによる際限なしの基準値上昇は永遠に苦しみ続ける事と同じになってしまいますね。

「自分の”ゴール”をしっかり定義し、固定しておくこと」これはお金に限らずどんな目標を立てる場合にも共通の第一原則と言えそうです。

良い本!だが過大キャッチコピー

とてもいい本です!いい本なんですが…先程から触れている世間の過大キャッチコピーがノイズとなって素直にお勧めしづらくなっていないでしょうか?

私には本書全体を通して「堅実にいこうね」と言っているように感じられます。

では、世間で「価値観が変わった!」「ぶっ壊された!」みたいに言っている人は一体どんなギャンブル人生を歩んでいたんでしょうか?

  • ”お金”のバイブル
  • 投資初心者必読!

とかならまだわかるような気がします。

何にせよ、良い本であることに間違いはありません。

ただ、もっと売り方を考えないと本と著者に失礼じゃない?と思いました。(この本に限った話ではないですが…)

そんな過激な言葉を使って宣伝するまでもなく広まっていくタイプの本でしょう。

発展を考える

もはや”基礎”になった内容か?

この本(日本語版)が出たのは2021年とのこと、新nisa開始よりも前ですね。

新nisa開始に伴い「投資」への世間の関心は急上昇したことと思います。(私もその一人ではあります)

そうなると、そういった顧客を囲い込むため、インフルエンサーたちも”投資”に関する目新しい情報をかき集めては発信していたことと思います。

何が言いたいかというと、2026年現在この本を読んでもそれほど目新しい内容はなかったなぁ、ということです。個人的に印象的だったのは先程の項目で引用した内容たちです。

本書の最後で

私はあなたに具体的なアドバイスをするつもりはない。普遍的な真理を教えたいのだ

『サイコロジー・オブ・マネー』P.294より引用

このように書かれている通りでした。

YouTubeで”お金系”の動画を見ている人なら触れたことがありそうな内容が大半です。

そのため、本書は

  • 過去事例から”基礎”を抽出しており
  • 現在までに”基礎”となった

本であると言えるかもしれません。

そうなると、本書を念頭に置いた新しい本の登場が楽しみになってきました。

ひとまずはそれらの登場を待ちつつ、同じ著者の『アート・オブ・スペンディングマネー』も読んでみようかなと思います。

関連する読書メモ

・『エッセンシャル思考』

自分の求めるものを明確にし、それ以外のものをそぎ落とす。まさにこれでいいと思いますし、本書もこの『エッセンシャル思考』も要約すると同じような内容が残るような気がしました。選択と集中ですね。

bookandthink.com

気になった言葉

後日調査したらリンクを追加予定です。

  • 複利

ひとこと

「経済的自立」という言葉から本を探すならこの本が答えでしょう。

同時に、少しだけ「経済的自立を目指して頑張ろうかな!」とあらためて思うきっかけにもなった本でした。

目新しい内容はなかったと書きましたが、こと投資に関してはそれでいいと思います。

基本を定期的に刷り込んでいかないと、”長期投資”と言いつつすぐに目先の下落で動揺するが我々一般人ですので。