以前、同じ著者の『教養としての「世界史」の読み方』を読み、とても面白かったので同シリーズの「ローマ史」版も読んでみようかと思いました。
本書では、大枠としてのローマの発展から衰退までの歴史を学ぶことができます。詳細を深掘っていけばキリがテーマですので、流れを押さえることはとても重要です。
ここでは『教養としての「ローマ史」の読み方』を読んで、目に留まった要素を整理してみます。

- 著者
- 本村凌二
- 訳者
- -
- 出版社
- PHP
- 発行日
- 2024年09月25日
この本について
どのような本か
ジャンル
歴史
テーマ
世界史を理解するための座標軸としてローマの歴史の流れを知る
どんな人に向いているか
- ローマの歴史の対極を押さえたい人
注目した要素
- 1
共和制
独裁を嫌い共和制を取り入れた初期のローマ - 2
権威を重要視する
”権力”ではなく”権威”を重んじる - 3
滅亡の要因
ゲルマン系流入による内紛、奴隷制による技術発展の阻害、インフラ劣化、キリスト教化による弱者の扱いの変化
所感メモ
本書を選んだ理由
同じ著者の『教養としての「世界史」の読み方』を読んで面白かったため、著者の専門分野であるというローマ史についての本も読むことにしました。
また、ローマは~中世ごろまでの世界の歴史を学ぶ上でとても大きな役割を担っていることは認識していたため、その軸として知っておくと有用であると思ったことも要因の一つでした。
共和制と権威
本書ではローマの建国・発展・衰退までが書かれていますが、一番印象に残ったのは初期のローマが大きく発展するに至った要因として書かれている「共和制」と「権威」に関する内容でした。
当初は王政という形態をとっていたローマですが、独裁者と化していたタルクィニウス王の追放をきっかけに「共和制」を取ることとなったそうです。後には帝政に移行していくことにはなりますが、本書の解説を読んだ上ではこの共和制が初期ローマの重要ワードになっているように思いました。
(前略)ローマ人は「王」という単独の支配者を嫌い、市民を主権者とする政体である「共和制」を選びました。
政務官や、最高権力者である執政官の人気を一年というごく短いものにしたのは、ローマの共和制が、まさに「反独裁のためのシステム」だったからだと言えます。
ローマ人は、なぜこれほどまでに独裁を嫌ったのでしょう。
それは、ローマ人が「自分たちは自由人である」という強い意識を持っていたからだと考えられます。
『教養としての「ローマ史」の読み方』P.28より引用
ちなみにこれが、紀元前6世紀ごろの話です。凄まじいですね。
もしくは、現在の文明がこの頃に出来上がった政体を基礎として発展してきているということでしょうか?どちらにしても、読んでいても大昔の文明とは思えない程の完成度で制度の話が展開されていきます。
そしてもう一つ「権威」を重要視する国民性の話も重要ではないかと思いました。
民衆が戦争に実利を求めた一方で、貴族層には、戦利品よりも大事なものがありました。それは、戦いで武勲を挙げることです。彼らにとっては、武勲こそが勲章であり、モチベーションだったのです。
(中略)
ここで間違ってほしくないのは、武勲が直結しているのはあくまでも「権威」出会って、権力ではないということです。
『教養としての「ローマ史」の読み方』P.81より引用
本書では”共和制ファシズム”という言葉が使われています。
ファシズムというとあまり良い印象は持たれない言葉ですが、古代の世界では自分たちの生存権を守るため、「先手防衛」としての侵略行為を行わざるを得なかった、という内容が大きな要因としてあげられています。
めったに出会えない読みやすい歴史書
いままでも何冊か歴史についての本は読んできていますが、この本村さんの本を読んでいてとても強く感じることがあります。
それはなんて読みやすいんだ!ということです。
以前読んだ『教養としての「世界史」の読み方』の中で、歴史家の書いた本の評判が良くないことについて言及されていました。
こうしたわかりやすく読みやすい歴史本を、本当は歴史家が書かなければならないと思うのですが、間違ったことを言うのが怖いので、歴史家は自分の専門以外のことについては、あまり書きたがらない傾向があります。そのため専門化すればするほど、書くことの範囲が狭くなり、一般の人々にとっては面白くないものになるのだと思います。
『教養としての「世界史」の読み方』P.20-21より引用
それを加味してもこのシリーズは私のような初心者でもとても読みやすく、楽しく読み進めることができる良い本です。
こういった歴史本がたくさん出てくれると良いですね。
発展を考える
もう一冊ローマ史本を
ローマの歴史については大枠を知ることができた。次はローマの文化や価値観ついて…と言いたいところですが、もう一冊読んでおきたい本があります。
エドワード・ギボン『ローマ帝国衰亡史』
こちらの本ですね。
本書でも存在が言及されていたように思います。(似たような本がとても多く、もしかしたら違うかも…)どちらにしても、ローマ史の本としてはかなり有名なようですので、併せてこちらも読んでおこうかと思います。
関連する読書メモ
・『教養としての「世界史」の読み方』
本書の世界史版です。こちらが大変面白かったので本書も読むことにしました。また、著者がローマ史の研究科とのことで、こちらでもローマに関する内容がたくさん登場しますが、「ローマと日本の共通点」「ローマ人たちが持っていた性質」というように、”教養”として学ぶ分にはこちらの方が取っ付きやすいです。そのため、こちら「世界史」を先に読み、ローマに興味が出たら本書「ローマ史」という流れがいいかもしれません。
・『反穀物の人類史』
ローマはかなり進歩した文明だったことが分かります。人類の歴史上において重要な意味を持っていることは間違いありません。ただ、それはあくまで「現代人が”文明”の残した文献を読み解いた結果」の見方です。ローマの歴史も統治と税、暗殺の繰り返しの歴史だったことが分かります。この本ではそんな「国家」に対する見方を変えるような研究が展開されます。進歩した文明について学んだら、セットで本書も読んでみることをおすすめします。
気になった言葉
後日調査したらリンクを追加予定です。
- 共和制
- ファシズム
ひとこと
とても読みやすく、ローマ史の大枠を捉えることができました。
先程も少し書きましたが、本書は本当に大枠の本であり、
- 政体
- 皇帝の評判
- 大きな戦争
こういった内容が中心でした。そのため、文化や価値観に振ったような本ももう少し追ってみたいと思いました。