その山を見上げて

読書と思考を積み上げていきます。

『大量絶滅はなぜ起きるのか』──過去の大量絶滅から学ぶ

生物の「絶滅」は、現代でもかなり叫ばれている問題だと思います。

環境省が発表している資料によれば、1500年以降、人間の活動により少なくとも680種の脊椎動物が絶滅しているとされています。

参考

環境省|生物多様性と生態系サービスに関する地球規模評価報告書

https://www.biodic.go.jp/biodiversity/about/ipbes/deliverables/files/spm%20jp.pdf

そのため、過去の「大量絶滅」の事例にも関心を持ちました。

今回は『大量絶滅はなぜ起きるのか』を読んで、目に留まった要素を残しておきます。

書籍情報
『大量絶滅はなぜ起きるのか 生命を脅かす地球の異変』の書影
『大量絶滅はなぜ起きるのか 生命を脅かす地球の異変』
著者
尾上哲治
訳者
-
出版社
講談社(ブルーバックス)
発行日
2023年09月21日
※書影は出版社公式サイトより引用
目次

この本について

どのような本か

ジャンル

自然科学

テーマ

地層に残された手がかりから「三畳紀末大量絶滅」の原因を考える

どんな人に向いているか

  • 地層、古生物等に関心のある人

注目した要素

  1. 1

    三畳紀末大量絶滅
    過去に五回あった大量絶滅「ビッグファイブ」の4番目

  2. 2

    二酸化炭素による影響
    温暖化、海洋無酸素化、海洋酸性化、森林の消失、土壌流出など。地層の堆積物から読み取ろうとしている

  3. 3

    ティッピングポイント
    不可逆で危険な地球環境に移行する限界値。東南アジアの熱帯林はこれが近い?

所感メモ

本書を選んだ理由

冒頭にも書いた通り、「絶滅」というキーワードは現代を生きる人類である我々には避けて通れないテーマだと思います。

そのため、過去の大量絶滅の事例を知ることは、間接的に現代の環境・気候変動を考えるうえで大きなヒントになると考え本書を読みました。

大量絶滅「ビッグファイブ」

本書では「三畳紀末の絶滅」が主題として取り上げられていますが、過去地球上では五回大量絶滅があったとされています。

これらの大量絶滅について残しておきます。

①オルドビス紀末の絶滅

4億4500万年前、85%の種が絶滅

②後期デボン紀の絶滅

3億7400万年前、82%の種が絶滅

③ペルム紀末の絶滅

2億5200万年前、96%の種が絶滅

④三畳紀末の絶滅

2億150万年前、80%の種が絶滅

⑤白亜紀末の絶滅

6600万年前、78%の種が絶滅

『大量絶滅はなぜ起きるのか』P.36より

これらの大量絶滅の原因は何だったか?本書から読み取れる範囲では

④三畳紀末の絶滅の原因は本書にあるように現在研究中、③ペルム紀の絶滅の原因は火山活動による二酸化炭素大量放出説が濃厚

そして、⑤白亜紀末の絶滅は恐竜絶滅の原因として、中米ユカタン半島に落ちた隕石の影響とする説が有名ですね。

①オルドビス紀末の絶滅、②後期デボン紀の絶滅 これらについても一度調べて知っておきたいと思いました。

そして現代では「人間活動の影響によって第六の大量絶滅が起こり始めているのでは?」という説を唱える人もいるようです。

CO2(二酸化炭素)の影響

本書はあくまで、著者の「三畳紀末の絶滅」に対する現在の仮説、という前提に則って書かれています。

そのため、全てを鵜呑みにするのではなく、「考えるための要素である」という捉え方にはなります。

その上で、CO2(二酸化炭素)は大量絶滅を読み解く上で重要な要素となりそうです。

「ペルム紀末の絶滅」の原因と考えられているモデルを「三畳紀末の絶滅」にも当てはめて考えようとしている動きがあるようです。

「ペルム紀末の絶滅」のモデルについて引用してみます。

 ペルム紀末の大量絶滅では、シベリアン・トラップと呼ばれる火成活動の地域から放出された二酸化炭素が、大気-大地-水環境の間でリレーされながら、海洋酸性化や無酸素化を引き起こし、最終的に海洋生物の絶滅を導いたとされる。

『大量絶滅はなぜ起きるのか』P.117より引用

どちらの大量絶滅も、火山から放出された大量の二酸化炭素による温暖化の影響が大きいと読めます。

これをきっかけとして

  • 海洋酸性化
  • 海洋無酸素化
  • 土壌流出
  • 森林の消失
  • 海洋生態系の崩壊

こういった出来事が連鎖して発生したと考えられています。

「大量の二酸化炭素の放出」というと、現代でも身に覚えがありそうな話だと思います。将来的に人類の活動によって放出された二酸化炭素量が増え続ければ、過去の大量絶滅と同じルートをたどってしまう可能性があるということでしょうか?

発展を考える

熱帯林の気温と樹木の限界

本書で一番引っかかった言葉です。

該当部分を引用してみます。

(前略)熱帯林の樹木が耐えられる気温の上限は、飽差により10度くらい変わる。

 熱帯林の中でも、飽差の小さい(湿った空気、0.2kPa程度)環境下で育てられた樹木は、三八度くらいまでは生産性の急激な低下は認められない。一方、比較的飽差が大きい(乾燥した空気、1~2kPa程度)メキシコやアマゾンの一部の熱帯雨林では、二七~二八度くらいから熱ストレスの影響が出はじめる。アマゾンでは年平均気温がすでに二八度に迫っている地域もある。先の「世界の熱帯林の気温は、すでに樹木が耐えられる限界に近付いている」という議論が起こっているのは、そのためだ。

『大量絶滅はなぜ起きるのか』P.183より引用

これを詳しく知りたいと思いました。

「熱帯雨林が開発により伐採され、危機的状況にある」ということは当然見聞きしたことがありましたが、地球温暖化による気温上昇からもこういった影響を受ける可能性があるということは知りませんでした。

私は昔から「気候変動」というものにはある程度関心を持っている人間だと思って生きていましたが、「地球温暖化の影響」というものをあまり知ろうとして来なかったことを痛感しました。

地球に暮らす生命の一つとしてこのテーマについてある程度詳しく知らなくてはいけないと思いました。

「熱帯林の耐えられる温度」という内容で直接資料が見つかればいいですが、ダメであればまずは「地球温暖化」に関する本を読んでみたいと思います。

関連する読書メモ

まだありません。

気になった言葉

後日調査したらリンクを追加予定です。

  • 二酸化炭素
  • 大量絶滅

ひとこと

過去の大量絶滅が「二酸化炭素の大量放出」やそれに付随して起きた「森林の消失」が影響して起きているというなら、現代でも「第六の大量絶滅説が現実のものになるのでは?」はと考えてしまいます。

実際、CO2削減は国家レベルの大きな課題として挙げられており、開発や木材取得のため森林は減少し続けています。何か自分にもできることは無いか?考えてみたいです。