その山を見上げて

読書と思考を積み上げていきます。

『平成金融史』──記録と証言から金融動向を振り返る

改めて「平成」の流れを知るために本書を読みました。

途中からは自分の生きてきた時代でもあるはずですが、「金融」という目線で行くと未知の世界に感じられました。

今回は『平成金融史』を読んで、目に留まった要素を整理してみます。

書籍情報
『平成金融史 バブル崩壊からアベノミクスまで』の書影
『平成金融史 バブル崩壊からアベノミクスまで』
著者
西野智彦
訳者
-
出版社
中央公論新社(中公新書)
発行日
2019年04月22日
※書影は出版社公式サイトより引用
目次

この本について

どのような本か

ジャンル

社会

テーマ

平成の不安定な金融の動向を重要人物の証言や記録を交えて振り返る

どんな人に向いているか

  • バブル崩壊後の金融動向を掴みたい方

注目した要素

  1. 1

    大まかな流れ
    株式バブル崩壊→土地バブル対策→複数金融機関の経営破綻→資金運用部ショック→ゼロ金利・量的緩和→解除→リーマンショック→東日本大震災→アベノミクス→黒田バズーカ→マイナス金利

  2. 2

    バブルの特定は困難
    崩壊するまでバブルであることを認識することは難しい

  3. 3

    景気加速への対策の遅れ
    金利引き上げの遅れ

所感メモ

本書を選んだ理由

自分と異なる世代の方々がどういった社会情勢の中で生きてきたのか、社会の流れをつかんでおきたいと思いました。

その方法として大雑把に「平成」の歴史の流れを振り返る必要があると考え、その第一弾として「金融史」と題された本書を選びました。

金融動向の簡単な流れ

平成31年間に起こった金融上の大きな出来事を簡単に抜き出して残します。

●1990年 平成2年

株式株価暴落

不動産関連融資の総量規制

●1993年(平成2年)~2005年ごろ

複数金融機関の経営破綻

●1999年 平成11年

資金運用部ショック

ゼロ金利政策導入決定

●2000年 平成12年

ゼロ金利解除

●2001年 平成13年

量的緩和

●2006年 平成18年

量的緩和解除

●2008年 平成20年

リーマンショック

●2011年 平成23年

東日本大震災

●2012年 平成24年

第二次安倍内閣発足

アベノミクス相場開始

●2013年 平成25年

異次元緩和(量的・質的緩和)

●2016年 平成28年

マイナス金利付き量的・質的金融緩和

自分も生きてきた時代のはずですが、あまり金融に注目してきていなかったこともあり、新鮮に見えてしまいます。

これを軸として持っておき、別視点から補強していきたいと思います。

バブルを認識することの難しさ

本書での重要項目の一つになると思います。

記述を引用してみます。

 口述記録の中で、三重野康は「バブルという定義はあったが、『今はバブルだ』なんて堅く思ってはいなかった」と打ち明けた。聞き役を務めたエコノミスト香西泰も「市場経済を大事だと思っている人間が、バブルだとはなかなか言いにくい」と同調した。

(中略)

バブルに対する「認識の遅れ」と「早めの予防」が両立できるのか、答えはいまだ見つかっていない。

『平成金融史』P.298より引用

バブルに限らず、おそらく現在自分たちがどういった状況にあり、今後どのようなシナリオが予想されるかを適切に把握することは難しいのだと思います。

実際、バブル崩壊前にも「景気がいいのに利上げする必要があるのか?」という声で対策が遅れた、不動産価格の暴落後も再びの高騰を予想して対策を先延ばしにした、という様な内容は登場しています。

内閣府の経済白書のなかにも以下のような記述がありました。

資産価格の高騰に対し即座に政策対応が取られなかった背景としては,当時の株価・地価がバブルであるという国民的コンセンサスがなく,さらに,住宅問題,資産分配問題,資源配分の歪みなど,バブルの国民経済的コストの大きさを十分認識できていなかった点が重要と考えられる。

引用:第5節 今回のバブルの教訓 - 内閣府

結局、令和を迎えた現在から見れば「どうして?」と思う様な部分も、当事者として意思決定を担う立場になれば、何が適切かなど判断できるはずもないでしょう。

バブル崩壊以降の歴史も教訓として扱うしかないのだと思います。

このレベルの話になると個人ができることはほぼ無いのかもしれませんが、知識として押さえておきたいです。

発展を考える

昭和史も知らないといけない

今回は「平成金融史」ということでしたので、話の開始時点ですでに1989年です。

すでにバブルが最高潮に達した状態から開始し、平成の開始から数年目にして既にバブル崩壊が始まってしまいます。

そこからの流れを追うだけでも時間軸としてとても価値があったとは思いますが、やはりそれ以前の流れも知っておかないとバブルに至るまでの流れがいまいち掴めないまま話が進んでしまいます。

そのため、平成をある程度調べ終ったら昭和末期へも目を向けていきたいと思いました。

結局のところ歴史は

  • ここまで昭和
  • ここから平成

というように明確に線を引いて区分できるものではないのだと改めて感じました。

そういえば、漫画『ドラゴン桜』でも「歴史は現代からさかのぼって勉強しろ」というセリフが出て来ていましたので、方法として有効ではあるでしょう。

関連する読書メモ

・『金利を見れば投資がうまくいく』

「金利」から景気のサイクルを読み解こうという内容の本となっています。平成はバブル崩壊からはじまりますので、どうしても「金利」「量的緩和」等金融政策の話題が中心となってきます。本書で事前にその周辺知識を持っておいて本当に良かったと思いました。

bookandthink.com

気になった言葉

後日調査したらリンクを追加予定です。

  • バブル

ひとこと

中々に濃密に情報が詰まっている本でしたので全てを理解するのは現時点では厳しいです。

大枠として掴んでおいて別途読み返してみたいと思います。