その山を見上げて

読書と思考を積み上げていきます。

『超巨大噴火と生命進化』──大量絶滅は進化につながる?

以前「大量絶滅」を読んだ流れで似た内容と扱っている本書も読みました。

本書では「大量絶滅と噴火」「大量絶滅が進化を促した」といった考え方が提示されています。

今回は『超巨大噴火と生命進化』を読みました。

中々にボリュームのある本でしたので、気になった要素をいくつか残しておきます。

書籍情報
『超巨大噴火と生命進化 地球規模の環境変動が大量絶滅と進化をもたらした』の書影
『超巨大噴火と生命進化 地球規模の環境変動が大量絶滅と進化をもたらした』
著者
佐野貴司
訳者
-
出版社
講談社(ブルーバックス)
発行日
2025年09月18日
※書影は出版社公式サイトより引用
目次

この本について

どのような本か

ジャンル

自然科学

テーマ

火山の噴火と大量絶滅の関係、そして大量絶滅と生物の進化について考える

どんな人に向いているか

  • 古生物の進化について知りたい人
  • 大量絶滅について知りたい人

注目した要素

  1. 1

    大量絶滅と火山噴火
    過去5回の大量絶滅には全て噴火が影響を与えていた

  2. 2

    大量絶滅と進化
    大量絶滅が起こると、空いた地位を別の生物が埋める→新しい進化が起こる

  3. 3

    酸性雨と炭酸カルシウム
    火山噴火による酸性雨が海洋の炭酸カルシウムを減らし、殻を持つ生物を減らす

所感メモ

本書を選んだ理由

以前、『大量絶滅はなぜ起きるのか』という本を読みました。

bookandthink.com

それに関連して同じ講談社ブルーバックスに関連するテーマの本がありましたので読むことにしました。

また、『大量絶滅はなぜ起きるのか』でも火山の噴火がかなり重要な要素として取り上げられており、読むべきだろうと思いました。

絶滅が別種の繁栄につながる

これが一番本書のタイトルとつながる内容かと思います。

過去の大量絶滅において打撃を受けた種、新たに繁栄した種を簡単に残しておこうと思います。

①オルドビス紀末

打撃:四放サンゴ、床板サンゴ、層孔虫、三葉虫、浅い海に生息していた腕足類

繁栄:床板サンゴ(大陸棚へ進出)、ウミサソリ、大型魚類

②デボン紀後期

打撃:コノドント類、腕足類、アンモナイト類

繁栄:植物、昆虫、四放サンゴ、ウミユリ、コケムシ

③ペルム紀末

打撃:フズリナ、四放サンゴ、海綿類、三葉虫、放散虫類、有孔虫、腕足類、アンモナイト類、単孔類、昆虫

繁栄:シダ種子類、イシサンゴ、六放サンゴ、アンモナイト、魚竜

④三畳紀末

打撃:コノドント(絶滅)、植竜類、偽鰐類

繁栄:アンモナイト、ベレムナイト、恐竜

⑤白亜紀末

打撃:恐竜、海生爬虫類、魚、二枚貝、アンモナイト、鳥類、トカゲ、ヘビ、植物

繁栄:サケ、サバ、哺乳類

また、三畳紀-ジュラ紀をまたぐ地層が残っておらず、三畳紀末の大量絶滅に関しては他と比べて研究が遅れているようです。

『大量絶滅はなぜ起きるのか』で三畳紀末の大量絶滅について集中して調査が行われていたのはこういった事情もあったようですね。

酸性雨と炭酸カルシウム

もう一つ、個人的に印象に残った内容について残しておきます。

それは、「炭酸カルシウム」についてです。

大量絶滅にも関係しますが、同時に大気中の二酸化炭素濃度の上昇にも端を発する内容ですので、現代で起こっている地球温暖化を考える上でも避けて通れない内容なのではないかと思いました。

海の浅い場所では、カルシウムイオンや炭酸イオンが豊富で、炭酸カルシウム(CaCo3)は過飽和状態にあります。そのため、貝や有孔虫などの生物が炭酸カルシウムの殻を作ることができます。

『超巨大噴火と生命進化』P.235より引用

例によって私は知らなかったのですが、貝などの生物が持っている「殻」は炭酸カルシウムからできているそうです。

そして、先ほどの引用部にもある通り、この炭酸カルシウムは海の浅い場所に豊富に存在していますが、海洋の酸性化によって減少します。

その順序を簡単にまとめると以下のようになるようです。

  • 大気中の二酸化炭素(CO2)が増加
  • 二酸化炭素(CO2)が海洋に溶け込む
  • 水素イオン(H+)と炭酸水素イオン(HCO3-)が発生
  • 水素イオン(H+)増加により海水のpHが下がり、海が酸性化

ここまでが「大気中の二酸化炭素増加→海の酸性化」の流れです。

炭酸カルシウムが関連してくるのはこの後となります。

  • 増えた水素イオンは炭酸イオンと反応し炭酸水素イオン(HCO3-)を作る
  • 炭酸イオン(CO3 2-)が減ることで炭酸カルシウム(CaCO3)の形成が難しくなる

海中での炭酸カルシウムはカルシウムイオン+炭酸イオンで作られるため、この材料となる炭酸イオンを持っていかれてしまうと形成できなくなってしまいます。

 PETMの時期には、大気中二酸化炭素濃度の上昇に誘発された海洋酸性化により、炭酸カルシウムの溶解が進みました。これにより海洋生物の中で最も大きな影響を受けたのが底生有孔虫でした。PETM開始直後の数千年間で種の30~50%が絶滅したことが報告されているのです。

『超巨大噴火と生命進化』P.238より引用

この「大気中の二酸化炭素濃度上昇→海洋酸性化→貝や有孔虫が殻をつくれなくなる」の流れは以前に読んだ本でも触れられており、大量絶滅を考える上で重要な要素となりそうです。

また、先ほども書いた通り、「このまま人間の活動によって大気中の二酸化炭素が増え続けるとどうなるのか?」に対する回答の一つとなりそうです。

発展を考える

・古生物についても知りたい

本書では「生命進化」もテーマとして持っていますので、各年代ごとに栄えたり、絶滅したりした生物についても解説されていました。

今まで生きて来て耳にしたり、これまで読んだ本から

  • コノドント
  • アンモナイト
  • 三葉虫
  • メガネウラ

など、ちょっとだけ分かる名前も出て来てはいましたが、大半は何の話かよくわからないまま読むことになってしまっていました。

特に古植物については全く知識がなく、完全に何言ってるかわからない状態になってしまっていましたので、一度古生物・古植物についても何かしら調べてみたいなと思います。

とはいえ、時々新説が出て来てはみんなの夢を打ち砕いているT-Rexの復元図の遷移からもわかる通り、結局のところ「その時点での最新の学説を調べているだけ」なんだということは覚えておきたいと思います。

関連する読書メモ

・『大量絶滅はなぜ起きるのか』

本書と類似したテーマを扱っている本です。三畳紀末の大量絶滅の原因を中心に考察されており、やはり火山噴火の影響が重要視されて取り上げられています。

bookandthink.com

気になった言葉

後日調査したらリンクを追加予定です。

  • 炭酸カルシウム

ひとこと

5回+新生代の大量絶滅を全て取り上げており、なかなかにボリュームのある本でした。

当然ながら1回ですべてを押さえることは到底できませんでしたので、今後も関連する内容に出会うことがあったら辞書的に(?)戻って来てみようと思います。

また、同じ著者の『日本の気候変動5000万年史:四季のある気候はいかにして誕生したのか』という本もあるようですので、こちらもいつか読んでみたいと思います。