「地球温暖化」や「森林」について知るため本書を読みました。
本書では人間活動による森林への影響や、手入れがされなかった森林の現在の状態という様な内容が扱われていました。
今回は『森林に何が起きているのか 気候変動が招く崩壊の連鎖』を読んで、目に留まった要素を残しておきます。

- 著者
- 吉川賢
- 訳者
- -
- 出版社
- 中央公論新社(中公新書)
- 発行日
- 2022/12/20
この本について
どのような本か
ジャンル
社会、自然
テーマ
地球温暖化をはじめとする気候変動による森林への影響と、これから森林をどうしていくべきかを考える
どんな人に向いているか
- 森林について学びたい人
- 地球温暖化の対策について考えたい人
- 環境問題について知りたい人
注目した要素
- 1
森林のダメージ
人間活動による森林火災の増加、伐採・盗伐、害虫の侵入、気候変動により、旧来通りの森林が維持できなくなっている - 2
森林を増やせばいいというわけではない
ただ木を植えるだけでは意味がない。管理されなければ森林は荒廃し続け、災害を引き起こす危険性がある - 3
木材利用によるに炭素固定化
木は成長過程で体内に炭素を固定する。木材を適切に利用することで炭素を固定しておける上に、樹脂生成に利用される化石燃料を減らせれば一石二鳥
所感メモ
本書を選んだ理由
最近「地球温暖化」についての本を読むことがありました。そのため、それに関連して温暖化による気候変動についても情報を集め始めました。
その一環として「森林」への影響をまとめてある(と期待して)本書を選びました。
合わせて、最近「森林」についての本を読んだことも要因ではあります。
人類活動と森林
本書では、森林が受けているダメージについて記述があります。
- 森林火災
- 温暖化による環境変化
- 乾燥化
- 伐採・盗伐
など挙げられていますが、ここでは一つ「森林火災」についての内容を取り上げてみます。
森林火災については雷などにより自然に起こることもあり、全てが「人類活動のせいだ」「地球温暖化のせいだ」というわけではないようです。
火災はこうして森林の営みを大きく撹乱するが、一方で、火事の頻度と強さが植生の構造を決めている場合もある。 すなわち、自然に発火する火事は、文字通り自然なイベントであり、生態系と緊密な関係を持った環境要因でもある。こうしたことを考慮に入れず、火入れの制限や防火に伴った森林の利用制限で火災を起こりにくくするだけでは、火事に依存していた動植物が被害を受けることとなる。我々の生活には防火や消火の備えは欠かせないが、自然生態系に対しては、火事の取り扱いとその対応は慎重にしなければならない。
『森林に何が起きているのか 気候変動が招く崩壊の連鎖』P.10より引用
しかし、人類が地球や森林に与えた影響によって火事が起こりやすくなっているという事実は存在します。
熱帯林の例ですが、人間の手が入った森林に火事が起こりやすくなるということについての説明を引用してみます。
(前略)アマゾンの熱帯雨林では大規模な伐採が行われ、林冠に隙間ができて、林分(樹種・樹齢・生育状況などがほぼ一様で、隣接するほかの森林と区別がつく一塊の森林)の構造が変化してきている。大量の木材を搬出するための道路も延びてきている。近年はそうした伐採地の拡大に加えて、地域開発のための道路建設や農地の造成でも熱帯雨林が伐り払われている。そのような伐採が続くと、残された林分の外縁部(林縁)は、枝が樹幹の上部にしか付いていない樹木が立ち並ぶ無防備な状態になる。延々と続く林縁は枝がないため林分の中が透けて見えるようになって、風や光が入ってくる。そうすると林内が乾燥しはじめて火事が起こりやすくなり、火がつけば長く燃え続けて大規模な火災になるリスクが高くなる。急速に進む森林の分断化によって火災が同時多発的にしやすくもなっている。
『森林に何が起きているのか 気候変動が招く崩壊の連鎖』P.18より引用
開発による伐採はもちろんのこと、この記述を読む限りでは
- 人間が通るための道をつくる
- 邪魔だと言って枝を払う
といった行為だけでも森林にダメージが入るようですね。
人間の感覚的には”ちょっと手を加えてだけ”にしか感じられませんが、大規模な開発によってそもそもの森林自体が減少していることと合わさって大きな影響を生み出してしまうと。
そして、大きな火事が起こってしまえがさらに森林が減少して…、という負のフィードバックループに陥ってしまう。
どこかで断ち切れるといいのでしょうが、資本主義の仕組みを考えると「とめる」なんてのは現実的ではありませんね。
今後も森林は減り続けるのでしょう…。
木材の利用による炭素固定
ここからは、今後森林とどう付き合っていくかという話です。
現在、日本は植林によって森林面積自体は決して少なくないようです。
しかし、林業従事者が減ることで管理が行き届かず荒廃していっているようです。しかし、森林を適切に利用できた場合に得られる恩恵は大きいようです。
それについての記述を引用してみます。
森林による緩和機能のうち、炭素を貯蔵する機能はこのように限界があり、森林の最大現存量以上の貯蔵はできない。しかし、森林は林業活動によって木材を算出できる。化石燃料を使って温室効果ガスを排出している現場で、伐り出してきた木材が利用されると、森林による二酸化炭素の隔離機能が森林の外へ拡張される。
(中略)
伐採される木製品として使われる分の他に、化石燃料や木材以外の原料の代替とされて使われる木材が生産され、二酸化炭素の削減に寄与する。
(中略)
石油製品だけでなく、鉄橋や鉄塔の一部でも木材が使われるようになれば、鉄骨の製造過程での二酸化炭素排出量を減らせる。木造住宅はそのまま森林の外で炭素を数十年間貯蔵し続ける。したがって、住宅の耐久年数の向上は炭素の隔離期間を延ばすことになる。
『森林に何が起きているのか 気候変動が招く崩壊の連鎖』P.193-194より引用
これは個人的に衝撃を受けた内容でした。
- 樹木自体が炭素を貯蔵
- 木材も炭素を貯蔵
- 木材を利用すれば炭素を固定しておける
二酸化炭素削減を考えるにあたって素晴らしい解決策だと思います。
もちろん、木材を安全に利用する技術は現在以上に発展する必要があると思いますし、木材生産のために森林を管理する体制・人材の確立も必要となります。
確かに、自分が「じゃあ今から林業やる?」と言われたら…やらないかもしれません。
そういった問題はたくさんありますが、森林の適切な管理・利用と木材による炭素の固定というのはぜひ覚えておきたい内容でした。
発展を考える
炭素について調べる
先程の木材利用により炭素を固定し、化石燃料の使用も削減するという内容がとても強く印象に残りました。
温室効果ガスの代表として二酸化炭素が問題視されています。
排出量の削減にばかり目が行きがちですが、結局のところ文大気中の二酸化炭素濃度を下げられなければ状況は改善することは無いという事実もあります。
そのため、今後テーマとして「大気中の二酸化炭素を減らす」ことについても、
- どのような技術があるか
- 考え方があるか
- 取り組みがあるか
など色々調べてみたいと思いました。
関連する読書メモ
・『温暖化で日本の山に何が起こっているのか』
同じく気候変動による影響をまとめた本です。森林に特化せず、山、植物、動物など広く扱われているので読みごたえがあります。
・『森が消えれば海も死ぬ』
同じく森林についての本です。森が土壌(栄養素)をつくり、それが河川を通じて海に流入することで海の生態系も作っているという様な内容です。特に土壌の話は本書でも当たり前のようにさらっと登場するので、この本である程度学んでおくのもいいと思います。
気になった言葉
後日調査したらリンクを追加予定です。
- 森林
ひとこと
とても有意義な本でした。
…「有意義」というと感想に困っているように見えてしまうかもしれませんが、そうでは無く、地球温暖化や森林について知りたいと思っている人はぜひ読んでほしい一冊でした。
森林に起こっている変化や今後の森林の在り方、我々人類による自然への罪滅ぼしなど、「欲しい」内容がまとまっていると思います。
変に学術的になりすぎず、著者の思い出話なども織り交ぜられているのが印象的で読みやすいです。ここ最近ブルーバックスばかり読んでいましたが、それ以外のこういった良書も探していきたいです。