その山を見上げて

読書と思考を積み上げていきます。

『海はどうしてできたのか』──マグマオーシャンから始まる海

「地球科学」について学ぶ一環として読みました。

本書では、地球の誕生から現在、我々が目にする海ができるまでにどういった過程が存在していたか、という内容が扱われています。

今回は『海はどうしてできたのか』を読んで、目に留まった要素を残しておきます。

書籍情報
『海はどうしてできたのか』の書影
『海はどうしてできたのか』
著者
藤岡換太郎
訳者
-
出版社
講談社(ブルーバックス)
発行日
2013年02月21日
※書影は出版社公式サイトより引用
目次

この本について

どのような本か

ジャンル

自然科学

テーマ

地球の誕生から現在の海ができるまで、そして今後海がどうなっていくかを考える

どんな人に向いているか

  • 地球の成り立ちを知りたい人
  • 海洋の形成過程を知りたい人

注目した要素

  1. 1

    マグマオーシャンが最初の海
    マグマオーシャン+火山噴出物でできた大気からすべてが始まった

  2. 2

    生命の誕生の影響
    シアノバクテリアによる酸素の大量供給が現在の海を作る大きな要因となった

  3. 3

    海がなくなる可能性
    今後地球の熱は失われていき、プレート活動の停止→海の維持ができなくなる

所感メモ

本書を選んだ理由

「地球科学」について広く浅く学ぶ目的の一環として本書を読みました。

ブルーバックスの本を中心に読んでいますが、気づけば本書の著者 藤岡換太郎さんの本がかなり読んでいましたので、この際全部読んでやろうと思ったことも要因です。

最初の海は”マグマオーシャン”

「海がどうしてできたか」ですが、内容としては”我々の知る”海がどうしてできたか、と捉えることもできそうです。

そういう捉え方をするならば、地球が誕生してから最初にできた海は「マグマの海」だったようです。

マグマオーシャン成立までの流れ

  • 原始の地球に隕石が衝突し続ける
  • 衝突による熱地球の表面が解ける
  • 地球の1/3~半分の深さまで溶け、マグマになる

また、原始の”大気”についても押さえておきたいです。

本書で紹介されている原始の大気として

  1. 一次的な大気:水素、ヘリウム中心(太陽そのもののガス成分)
  2. 二次的な大気:火山活動で放出されたガス

これについての記述を引用してみます。

「二次的な大気」は、マグマオーシャンから生まれた火山活動によって、マグマがガスを放出する「脱ガス」という現象が起こり、それらのガスが徐々に上空に累積して大気を形成したと考えられています。それは地球を作った素材である隕石の中に閉じ込められていたガスでした。

 その成分は、現在の火山活動によって出てくるガスの成分とよく似ていたと思われます。たとえばハワイのキラウエア火山から放出されたガスの成分は、水素、水蒸気、二酸化炭素、一酸化炭素、窒素、アルゴン、塩素ガス、塩酸、硫黄、亜硫酸ガスなどです。ほとんどは人類にとってはおそろしい毒となるものです。わたしたちにとって欠かせない酸素は、この時の大気にはまだ含まれていませんでした。

『海はどうしてできたのか』P.43-44から引用

マグマオーシャンから現在の海へ

このマグマオーシャンからどのようにして現在我々が知っている水でできた海になっていったかですが

  • アルゴンなど軽い物質は宇宙に逃げ去る
  • 岩石や鉱物が文化kされ、含まれていたOHが水として放出される
  • 陸の温度が下がり、大気中の水が雨として地表に降る
  • 雨として降った水が地表の低いところに溜まっていく

こうして「水がたまった」状態の海が誕生することになりました。

ただし、ここまでではまだ現在我々が知っている地球環境とは異なり、大気中に酸素はO2という形で存在せず、鉄と結びついた酸化鉄という形で海底に存在していたようです。

そこで、酸素の発生の要因となったのが「シアノバクテリア」による光合成だったようです。先述の通り「二次的な大気」の時点ですでに大気中の二酸化炭素は存在していたわけですので、それを使って生きる生物が発生したのも当たり前のことだったのかもしれません。

 光合成とは、水と二酸化炭素から、太陽のエネルギーを使って酸素と有機物(炭化水素)を合成する反応です。つまり大量のシアノバクテリアが光合成をすることで、地球上に酸素が単独の状態で大量に供給されることになったのです。酸素はどんどん酸化反応によって消費されていきますが、それ以上にシアノバクテリアの酸素供給量が大きく、ついには海や大気の組成まで変えてしまったのです。

『海はどうしてできたのか』P.72-73より引用

何にしても、現在の海や大気が生まれるにあたって、生命活動の影響が大きかったというのが面白いです。

こういった問題を深く考えたことがなかったので、漠然と現在と同じような地球環境のもとに生命が誕生したと思っていました。

しかし、先ほども書きましたが光合成の様に二酸化炭素を使って生きる生命が発生することになった要因としては、原始の地球が現在と違った環境だったからという部分もあるのではないでしょうか。

発展を考える

陸の形成ともつながっている

先程、当たり前のように「大気中の水が雨として地表に降る」と書きましたが、降り積もる「地表」がなければ水がたまることもなく蒸発してしまいます。

  • ある程度地球の温度が下がる
  • マグマが固まって地球の表層に「地表」ができる
  • 水が蒸発しない程度に地表の温度が下がる

これがまず「水がたまった海」ができる条件でしょうか。

また、

  • 地表ができるにあたってできた高低差は「山」
  • 地表に降った雨が低いところを目指して流れ落ちる過程が「川」

でしょうか。そうであれば、海の形成を調べるというのはつまり、「山」や「陸」「川」についても調べないといけない。すべてつながっていますね。

引き続き地球科学について調べていきたいと思います。

関連する読書メモ

・『水の惑星「地球」』

本書と割と類似した内容が扱われている本です。地球を「水の惑星」たらしめている要因について扱われています。地球規模での「水の循環」「炭素の循環」など、本書と合わせて読む価値があると思います。

bookandthink.com

・『三つの石で地球がわかる』

同じく藤岡換太郎さんの本です。同じ著者が同じ方向性に向けて書いている本ですので、併せて読むととても有効だと思います。地球の体積の80%以上を構成する「橄欖岩」「玄武岩」「花崗岩」についての内容で、本書ともかなり関係します。特に、「マグマオーシャンから陸の形成」についてはこの本がわかりやすいと思います。

bookandthink.com

気になった言葉

後日調査したらリンクを追加予定です。

  • シアノバクテリア

ひとこと

本書の著者である藤岡換太郎さんのシリーズに

  • 山はどうしてできるのか
  • 海はどうしてできたのか ←本書
  • 川はどうしてできるのか

の3部作があり、本書はその2作目のようです。読む順番を間違えました。

引き続き1作目に戻って「山はどうしてできるのか」を読みたいと思います。

ちなみに、他2冊のタイトルは「どうしてできのか」ですが、本書のみ「できのか」となっています。

これは何か理由があるんでしょうか?

ただのミスか、それとも「一度失われてしまったら、もう二度と地球上に海ができることは無い」ということを示そうとしているのか…