「地球科学」について学ぶ一環として本書を読みました。
本書では、川とはどういうものか?を考えるためのヒントが示されています。
今回は『川はどうしてできるのか』を読んで、目に留まった要素を残しておきます。

- 著者
- 藤岡換太郎
- 訳者
- -
- 出版社
- 講談社(ブルーバックス)
- 発行日
- 2014年10月21日
この本について
どのような本か
ジャンル
自然科学
テーマ
川にまつわる謎と多摩川の流れから「川とは何か」を考える
どんな人に向いているか
- 川について学びたい人
注目した要素
- 1
「川」とは
雨水が海へ向かうまでの経路のこと - 2
地球最初の川
冥王代に大気中の水が雨として地上に降ったことでできた「流れ」 - 3
川の研究は難しい
火山活動、断層運動、造山運動、海面変動など様々な現象の影響をけるため、川の体系的な研究は難しい
所感メモ
本書を選んだ理由
「地球科学」について漠然と学ぶため本書を読みました。
また、同じ著者の『海はどうしてできたのか』『山はどうしてできるのか』を読みましたので、同シリーズとなる本書も続けて読もうと思った次第です。
そもそも川とはどういうものか
川のでき方を知るにあたって、そもそも「川」とはどういうものなのかを知っておく必要がありそうです。
該当する部分を引用してみます。
そもそも川とは、空から地上に降ってきた雨水の「最初の一滴」が、最終地点である海へと至るまでを結ぶものです。川はその間を、地形の等高線(等ポテンシャル面)に直行する方向に流れ下ります。簡単にいえば、川は傾いている方向へと流れるのです。川は低きに流れる──これが川の最大の原則です。
『川はどうしてできるのか』P.130より引用
川とは、水が高低差に従って下る経路のこと。
海に向かって、というよりはこの経路に沿って流れ下った水が溜まった先が海となったという様なイメージでしょうか?
実際、本書でも地球最初の川としては、
- 冥王代にて地球の温度が下がる
- 大気中の水が雨として地上に降る
- 降った雨が陸地の高低さに従って流れる
こうしてできた「流れ」が該当するようです。そして、その流れた水が溜まった場所が現在の海となります。
本書のタイトルでもある「川はどうしてできるのか」の答えとしてもこれがそのまま使えそうです。
川の「謎」を2つ
本書の前半では川にまつわる「謎」として、川の知識が紹介されています。そこから個人的に印象に残った内容を2つ残しておきます。
上流を奪われる川
「河川の争奪」という現象があり、2つの川がつながることで結果として一方の川がもう一方の川に”上流を奪われる”ということがあるそうです。
源流を奪われるということはそれで奪われた川は枯れてしまいそうなものですが、実際に滋賀県を流れる石田川などは、上流を百瀬川に奪われた後も存在しているようですので、そう簡単なものでも無さそうです。
一般的なケースとしては、一方の川の「谷頭」が浸食によって近づき、もう一方の川と接する場合があります。谷頭とは、川の上流の、谷の先端です。浸食は水は風が地表などを削っていくさようです。谷頭が浸食しながら進んでついに隣の川まで達したとき、そこで隣の川の流れを奪い取ってしまうことがあるのです。隣の川にとっては、その地点より上流の流域を放棄することになります。
『川はどうしてできるのか』P.50-51より引用
ブラックウォーター
アマゾン川などの写真を見ていると、水中が赤っぽく映っているものを目にします。(そして、赤っぽい水の中にいるアマゾンカワイルカの写真なんかは結構不気味に見えます…)
こうした水は「ブラックウォーター」と呼ばれるそうで、強い酸性を持つとのことでした。アマゾン川支流の「ネグロ川」は特に真っ黒だと言います。この赤っぽさはどこから来たものなのか?
水が黒い理由は、ネグロ川が大量に飲み込む植物にあります。河床に堆積した膨大な量の枯葉などからタンニンなどの腐植酸ができるために、黒くなるのです。このようにしてできた黒い川を「ブラックウォーター」と言います。南米には同様の川が多いのですが、なかでもネグロ川は世界最大のブラックウォーターです。その水質は強い酸性となるため、ボウフラも育たないといわれています。
『川はどうしてできるのか』P.94より引用
アクアリウム界隈でも水槽に「マジックリーフ」という葉っぱや専用の薬剤を混ぜることで、このブラックウォーターを作りだしたりしているようです。
南米原産の水生生物を飼育する際にはやはり本来の生息環境にあった水を用意したほうがいいんでしょうね。
南米の生態系なんかも改めて調べてみるとおもしろそうですね。
発展を考える
漠然と「川」を学ぶのは難しいのか?
本書は山→海→川と来た三部作の三作目となります。
タイトルの「川はどうしてできるのか」には答えられていますが、本全体を通して話の本筋がちょっと見えづらく、それは
- 山における、プレートテクトニクス
- 海における、マグマオーシャンから現在の海までの過程
のような「説明の中心」となるような概念が川には存在しなかったからなのかな、と思いました。
今までの浅い読書歴からの推測にはなりますが…
こういうテーマについて調べようと思った場合、変に抽象度の高い「川とは何か」という様な本を選ぶと、論旨の見えづらい事象の羅列のような本にぶつかる可能性が高いです。
そのため、引き続き川についても学んでいきたいですが、本選びはちょっと気をつけないといけないのかなと思います。
たとえば
- アマゾン川でも
- ナイル川でも
- 多摩川でもいいので
特定の川に絞って調べ、知見を貯めていくのがよさそうです。
また、川が「地上に降った雨の流れる経路」である以上、「気象」の知識も必要となってきそうですね。
- 特定の河川についての本
- 気象についての本
- 山についての本
このあたりを軸として学習を進めていきたいと思いました。
関連する読書メモ
・『山はどうしてできるのか』『海はどうしてできたのか』
同著者の本です。内容として直接のつながりはありませんでしたが、シリーズを通して地球の構造を学ぶという目的で合わせて読んでみてもいいと思います。ただ、本書はこれら2冊とはかなり内容の構成が異なりました。
・『富士山噴火と南海トラフ』
富士山の噴火について考察する本ですが、同時に「火山」の解説書としてもとても面白いと思います。また、火山の恵みとして「火山の堆積物で濾過されたきれいな水ができる」など、ちょっと本書と被る内容がありましたので取り上げておきます。
気になった言葉
後日調査したらリンクを追加予定です。
- 水系・流域
ひとこと
今回で藤岡換太郎さんの本は6冊目だと思いますが、今までと少し違う内容のため、いつもと違った説明が読めて面白いです。
今後は自分が興味を持った特定の河川に絞って引き続き「川」について調べてみたいと思います。