「地球科学」を学ぶ一環として本書を読みました。
本書では地球科学を学ぶ上で避けて通れない、「コリオリの力」についてわかりやすく解説されています。
今回は『謎解き・海洋と大気の物理』を読んで、目に留まった要素を残しておきます。

- 著者
- 保坂直紀
- 訳者
- -
- 出版社
- 講談社(ブルーバックス)
- 発行日
- 2003年07月19日
この本について
どのような本か
ジャンル
自然科学
テーマ
「コリオリの力」から海洋と大気の循環について考える
どんな人に向いているか
- 大気・海流の基礎を知りたい人
注目した要素
- 1
海洋・大気の循環を考える基礎
流体、重力、圧力、浮力、密度、熱、粘性、コリオリの力 - 2
コリオリの力
地球の自転の影響を考慮するための見せかけの力。コリオリの力=地球の自転によって海洋・大気の循環が促される - 3
エルニーニョ
東太平洋の赤道海域で海面水温が例年より高い状態がつづく
所感メモ
本書を選んだ理由
最近、地球科学的に関する本を読んでおり、その一環として本書を読みました。
また、地球について調べると海洋や大気の話題は必ず目にすることになり、必然的に「コリオリの力」に遭遇する機会も多いです。
本書の応用編である『地球規模の気象学』を先に読んで「難しい」と感じたため、一度こちらに目を通したかったのも要因です。
基礎知識たち
本書では、海洋大気の循環を考える上で最低限必要な物理的な知識のイメージを掴めるような説明がされています。
地球科学系の本を読んでいると部分的には必ず触れるような内容ではありますが、ここで一旦簡単にまとめてみます。
①流体
海流や気流は「流体」としての共通の性質をもつ。
水のかたまりを考えて流体の動きを簡単に捉える方法の基礎が「流体力学」。
②重力
=万有引力:全てのものが有する引き合う力
地球上では地球に向かって「下向き」に働く。
③圧力
押し付ける力
海流の動きを考えるときに、圧力と流れとの関係がとても重要となる。
水も空気も圧力の高いところから低いところに動く。
④浮力
ものを浮かせる力
「軽いものは上に、重いものは下に」という原理。
海水でも温度が高く、膨張して軽くなった水は上に、逆に冷たく重い水は下に沈む。
海洋の循環につながる
⑤密度
一定の体積の物体の質量
この密度の差によって海洋と大気がまじり合わずにはっきりと分かれている。
⑥比熱
ものの暖まりやすさ、冷えやすさを示す言葉。
水は暖まりやすく冷えにくい性質があり、これが海陸風やモンスーンの仕組みにつながっている。
⑦潜熱
物質の状態が変化するときに出入りする熱のこと。
大気中の水にの潜熱を考えることで湿度や雲の形成につながる。
⑧粘性
液体の内部で働く摩擦力に似た力
水の粘性は小さいが、水を入れた洗面器を回転させると壁に接した水から動き始める。これは水の粘性によるもの。
⑧コリオリの力
地球の自転の影響を物理計算に組み込む際に使う見せかけの力
海洋や大気の循環に大きく影響を与えている。
小学校、中学校の理科で触れた内容も多いですが、初見のものもありますね。
今後も地球科学や気象について学ぶ際にはこれらの要素を自然に持ち出せるようにしていきたいと思います。
エルニーニョを考える
「エルニーニョ」という言葉は気象は地球科学、気候や文化など様々なところで出会う機会が多いと思います。
何となく天気や気候に関係する言葉なんだろうな、とは思いつつも具体的にどういったものかは説明できませんでした。
そもそもエルニーニョとは何か?気象庁のWebサイトから引用してみます。
エルニーニョ現象とは、太平洋赤道域の日付変更線付近から南米沿岸にかけて海面水温が平年より高くなり、その状態が1年程度続く現象です。
そして、本書の記述も引用してみます。
東太平洋の赤道海域で、海面水温が例年に比べて数度くらい高い状態がつづく。数年に一度の割合で発生し、この水温の狂いが大気を伝わって世界各地に異常気象をもたらす。
『謎解き・海洋と大気の物理』P.142より引用
そして、本書では先ほど挙げたような要素を用いて、このエルニーニョの解説がされていました。
詳細な説明は本書を直接読んでもらうとして、超々簡単に書いてみます。
まず、前提として「湧昇」という仕組みがあるようです。
- 海上を風が吹く
- 風に引っ張られて海水が動く
(北半球では風の進行方向に対して右向き、南半球では左向き) - 表層の海水が流れて足りなくなった分、海底から浮き上がり補充される
このように海底から冷たい海水が「湧き上がってくる」仕組みが「湧昇」であり、これによって南米の沿岸部や赤道上の海水が暖まりすぎずに保たれているそうです。
そして、この湧昇を引き起こしている風が弱まることで海水温が高くなる。これがエルニーニョであるとのことでした。
もう少しるニーニョについても調べてみたいですが、ある程度概要は掴めたように思います。(思い上がりすぎ?)
発展を考える
この本が前提として次作へ
以前、本書の応用編である『地球規模の気象学』を読んで、「物理的な解説が多くて難しいなぁ」という感想を持ちました。
ただし、本書の様に「基礎的な内容を分かりやすく説明されている本」が前提として存在していたのであれば話は別ですね。
本書は数式での説明が省かれており、著者の「イメージ」を掴ませて概要を理解してもらおうという意図が伝わってきます。
それの次段階として『地球規模の気象学』があったのであれば、適切なステップアップだったのだと思います。こちらの本を先に読むべきだと思います。
また、先述の通り「イメージ」を掴めるよう文章と例で説明されるため、物理的な内容に抵抗のある方でも取っ付きやすいと思います。(逆に、文章による説明であるが分かりづらい、という部分もあるかもしれませんが…)
関連する読書メモ
・『地球規模の気象学』
先述の通り同じ著者による本書の応用編です。取り扱われている内容はかなり似通っていますが、数式による説明が登場し、より”物理っぽい”内容が増えています。
気になった言葉
後日調査したらリンクを追加予定です。
- エルニーニョ
- 流体
- テレコネクション
ひとこと
今後は「気象」についても学んでいきたいと思いますが、本書はその前段階として中々わかりやすくイメージを掴めるいい本ではないかと思いました。
また、モンスーン、エルニーニョなどの現象(と言って良いのか?)の仕組みを考えるというのもかなり面白いですね。もちろん、現時点で全て解明されているわけではありませんので、今後の研究の発展にも期待したいです。