その山を見上げて

読書と思考を積み上げていきます。

『モンスーンの世界』──モンスーンの仕組み、文化、気候変動、今後

「気象」「地球環境」について学ぶ一環として、「モンスーン」について改めて学んでみたいと思い本書を選びました。

本書では、「モンスーン」を題材に、気候、仕組、地理的要因、文化など幅広い内容が取り扱われていました。

今回は『モンスーンの世界 日本、アジア、地球の風土の未来可能性』を読んで、目に留まった要素を残しておきます。

ただ、余りにも内容が濃く、多岐にわたる本でしたので、今回はあくまで「一次メモ」位にしておきます。

書籍情報
『モンスーンの世界 日本、アジア、地球の風土の未来可能性』の書影
『モンスーンの世界 日本、アジア、地球の風土の未来可能性』
著者
安成哲三
訳者
-
出版社
中央公論新社(中公新書)
発行日
2023/5/24
※書影は出版社公式サイトより引用
目次

この本について

どのような本か

ジャンル

社会、自然科学

テーマ

仕組み、気候、文化など様々な視点からをモンスーンを捉え、「モンスーンアジア」が今後どうあるべきかを考える

どんな人に向いているか

  • モンスーンについて知見を深めたい人
  • モンスーンの影響下にある国々の性質を考えたい方

注目した要素

  1. 1

    モンスーン
    季節風。海水の”暖まりにくく冷えにくい”性質により、季節によって風の吹く向きが変わる。これによって日本に明確な四季の変化がもたらされている

  2. 2

    アジアのグリーンベルト
    モンスーンによる季節変化の影響を受ける範囲であり、生物相が世界で最も多様。日本もここに属している。

  3. 3

    ヒマラヤの存在
    ヒマラヤ・チベット高原で発生する上昇気流によって生じる積乱雲がモンスーンの重要な要素となっている

  4. 4

    モンスーン影響下の風土
    活発な水循環・季節サイクルによって受容的・忍従的な精神構造を作りだした?

所感メモ

本書を選んだ理由

「気象」について少しずつ学んでいますが、その過程で「モンスーン」という言葉に遭遇する機会も多いです。

また、日本もこのモンスーンの影響下にある国ですので、一度しっかり調べてみたいと思った次第です。

モンスーンについて

モンスーンについて一度しっかりまとめておきたいと思います。

と思ったのですが、本書では「モンスーンとは」と引用できるような記述はなかったので外部サイトから引用してみます。

モンスーンとは、ある地域で、一定の方角への風が特によく吹く傾向があるとき(その風を卓越風と呼ぶ)、季節によって風の吹く方角(卓越風向)が変化するものを呼ぶ。

引用:

モンスーン - Wikipedia

…これではなんだかよく分かりませんが、結局のところ

「季節によって吹く方角が変化する風」ということでしょうか。(”モンスーン”を題材にするなら定義はきっちり示しておくべきでは?と思ってしまいますが…)

そして、そのモンスーンの発生原理についても引用してみます。

大陸は暖まりやすく冷えやすい一方、海洋は暖まりにくく冷えにくいという特徴がある。そのため夏季には大陸上の空気の方が暖かくなり上昇気流を生じ、それを補うために海洋から大陸へ季節風が吹く。逆に冬季には海洋の方が暖かくなるので、大陸から海洋へ季節風が吹く。海陸風は昼と夜で風向が変わるが、季節風は夏と冬で風向が変わる。

引用:モンスーン - Wikipedia

まず、前提として

  • 大陸:暖まりやすく冷えにくい
  • 海洋:暖まりにくく冷えにくい

これは押さえておきたいです。これによって太陽光を受けた大陸と海洋に温度差が生じます。

温度が高いと空気が膨張して軽くなり、上昇する”上昇気流”が発生します。

それによって上昇した分を補うよう、温度が低い側から空気が流れることとなります。よって、

  • 夏季:暖まりやすい大陸が海洋より温度が高い → 海洋から大陸側に風が吹く
  • 冬季:冷えにくい海洋が大気より温度が高い → 大陸から海洋に風が吹く

ざっくりとしたまとめではありますが、こういった仕組みによって季節によって風の吹く方角が変わるため”季節風”ということですね。

モンスーンあれこれ

ここからは、本書を読んで気になった

  • モンスーンに影響を与えているもの
  • モンスーンによってもたらされているもの

などを書いてみようと思います。

モンスーンに影響を与えているもの

ヒマラヤ・チベット高原の存在がモンスーンに大きな影響を与えているとのことです。

(前略)まず、モンスーンが吹き始める季節には、熱くなったチベット高原の地表面からの直接的な大気の過熱が必要であるが、モンスーンの最盛期には、インド洋からの水蒸気の流れがヒマラヤ・チベット高原の南縁で上昇して積乱雲群を発達させて大量の降水をもたらす。その過程で放出される莫大な潜熱が大気を強く温めて上昇気流をさらに強めることにより、世界の他の地域には見られない強いモンスーンの循環が形成される。

『モンスーンの世界』P.56-57より引用

ヒマラヤ・チベット高原があることによってモンスーンが強めらているということですね。これが無かったとしたら当然、モンスーンも現在とは規模が全く異なる現象になっていたということでしょうか。

であるとすれば、モンスーンは現在の大陸は配置によって起こるものであり、今後大陸移動によって地球上の大陸・海洋の構成が変われば失われてしまうものだというおことですね。

もちろん、現代を生きる我々が「モンスーンの発生しなくなった世界」を観測することはできないのであまりピンとこない部分はありますが、なかなかレアな気候の中で生きているのかもしれません。

モンスーンによってもたらさせるもの

日本をはじめ、モンスーンの影響下にある地域には独特の生態系が存在することとなります。そして、その影響下にある地域を”アジアのグリーンベルト”と呼ばれているそうです。

 モンスーンアジアは、夏・冬の大規模なモンスーンに伴う大気循環と降水量の明瞭な季節変化が卓越する地域で、ユーラシア大陸東海岸を高緯度から赤道域まで南北に連なっている。モンスーンアジア地域は年間の降水量も多く、湿潤な気候に対応して図5-2に示されるように、森林を中心とする広大な植生域が発達している。赤道のインドネシア付近から東南アジア・中国、朝鮮半島、それから日本、さらに北極圏も含む東シベリアまで、森林が南北につながって分布しており、アジアのグリーンベルト(Asian Green Belt)とも呼ばれている。

(中略)

 特筆すべきことは、このグリーンベルトの生物相は世界で最も多様なことである。グリーンベルトの存在はもちろんモンスーンアジアの気候と密接に関係している。

『モンスーンの世界』P.113,115より引用

正直、日本に住んでおり日本だけを見てしまうと「生物相が多様って本当か?」と思ってしまいますね。

赤道付近のインドネシアや東南アジアの様に熱帯雨林を擁する地域は独特の植物や昆虫の宝庫でしょうが、それ以外の地域を見てしまうとどうなのかな?と思ってしまいました。生物相についても一度調べてみたいですね。

発展を考える

余りにも内容が濃い

驚くくらい内容が濃く、情報の密度も高いため、一度で内容を拾いきるのは無理だと判断しました。

特に前半のモンスーンの物理的な説明は、気象の初心者である現在の私にはかなり難易度が高く、太刀打ちできない内容も多かったです。

そのため、これからも同様の内容の本を読み続け知識を得てから再度本書を読んでみたいと思います。

モンスーンの気候がもたらした、文化や人々の価値観、和歌に現れたモンスーン、気候変動など内容は多岐にわたるため、後で読み返すことで違った見え方をしてくるはずです。

ひとまずは

  • 気候変動
  • 気象
  • 人類

これらを中心に攻めてみようかと思います。

関連する読書メモ

・『謎解き・海洋と大気の物理』

ブログ記事では取り上げていませんでしたが、モンスーンの原理についてはこの本でも取り扱われています。というか、この本の説明のほうが圧倒的にわかりやすく初学者向けなので、原理や物理的な説明が知りたいのであれば先にこちらを読んだ方がいいかもしれません。

bookandthink.com

気になった言葉

後日調査したらリンクを追加予定です。

  • テレコネクション
  • 生物相
  • 風土

ひとこと

内容の濃さ、情報密度で言ってもかなりボリュームのある本です。

もっと知識をつけてから読めばまだまだ楽しめそうですので、今後も何度か読み返していきたいと思います。