「水」について学ぶ一環として「地下水」についての本を読んでみました。
本書では、地下水に関する知識や研究、地下水の利用によって生じた問題といった内容が提示されています。
今回は『地下水と地形の科学 水文学入門』を読んで、目に留まった要素を残しておきます。

- 著者
- 榧根勇
- 訳者
- -
- 出版社
- 講談社(講談社学術文庫)
- 発行日
- 2013年02月13日
この本について
どのような本か
ジャンル
自然科学
テーマ
地下水に関する知識や研究内容・手法を通して「水文学」について学ぶ
どんな人に向いているか
- 地下水に関心のある人
- 水文学とは何かを知りたい人
注目した要素
- 1
地下水とは
地層が水で飽和しているとき、その水を地下水という。また、温度が高いものが温泉とされてている - 2
水文学(すいもんがく)
地下水を含む水循環を研究する学問のこと - 3
地下水に関する課題
適正揚水量、地盤沈下、地下水汚染、「コモンズの悲劇」
所感メモ
本書を選んだ理由
「水」について学ぶ一環として本書を読みました。
また、地球科学的な内容を追っていると「水循環」という考え方に触れる機会があり、「地下水」「水文学」といった言葉を目にする機会があったため。
地下水と水文学
そもそも「地下水」に関する内容が初見であることもあり、地下水とは何か?を最初にはっきりさせておきたいと思います。
砂層を顕微鏡で拡大してみると、粟おこしのような構造をしている。粟粒にあたるものが土粒子で、、粟粒をくっつけている飴にあたるものが水である。飴が間隙をすべて満たしている状態のとき、つまり地層が水で飽和されているとき、その水を地下水という。これに対して、不飽和状態の水が土壌水である。地下には土壌水と地下水の二種類しかなく、両者の境界を地下水面と呼んでいる。
『地下水と地形の科学 水文学入門』P.43より引用
初見の人間にはちょっと難しいですが…まとめてみると
- 地下水:地面の隙間が水で満たされている状態の水
- 土壌水:土の粒の隙間に水だけでなく空気も存在している状態の水
という理解であっているでしょうか。
「土壌に交じっている水」というだけでは地下水とは呼ばないということですね。
また、その地下水のうち温度が高いものが「温泉」だそうです。
そして、そんな地下水を含む水を研究する学問を水文学(すいもんがく)というそうです。
地下水を含む水循環を研究する科学である水文学(hydrology)
(中略)
なお、水文学は「水の文学」ではなく、「水文の学」である。水文は天文、地文、人文の類語としてつくられた言葉と考えられ、(以下略)
『地下水と地形の科学 水文学入門』P.45より引用
素人向けの一般書を書いているという自負があるのであれば、こういった言葉の定義は他の内容と絡めず独立させて書いてほしいものです。。。
引き続き水文学の記述を引用してみます。
地下水の流れの様子は、数学を道具に使う水理学で解くことができるが、地下水が流れている場の条件、つまり地層の水文地質構造(具体的には、ダルシー式の透水係数の空間的分布)は水理学では解けない。水文地質構造を明らかにするには、現地で調査するしか方法はない。
(中略)
しかしどの方法にも、不均質な地下空間のすべてを調べ尽くすことはできないという、根本的な制約がある。
現代の水文学はこの制約を、古水文解析とトレーサー追跡によってかなりの程度まで解決した。
『地下水と地形の科学 水文学入門』P.49-50より引用
結局、水文学というのは
- 流れを解析する水理学
- 水文地質構造の研究
が合わさったものということでしょうか。
本書の解説だけでは煙に巻かれているような感覚を覚えますね。。。
地下水の成分
もう一つ、地下水に関する知識を残しておきます。
地下水というと「様々な物質が溶け込んでいる」という漠然としたイメージがありますが、それは水が岩石を溶かす能力をもっているからとのことです。
関連する記述を引用してみます。
(前略)地下水がいろいろな成分を含んでいるのは、地下水が岩石を溶かす能力をもっているからである。水は岩石を化学的に風化させる。
まず、新しい地下水中には、金属鉄を参加させるのに十分な溶存酸素が含まれている。溶存酸素は鉱物中に豊富に存在する酸化第一鉄を、より酸化の進んだ参加第二鉄に変え、岩石を風化させる。
(中略)
また、雨水には炭酸ガスが含まれており、わずかな酸性を示す。つまり雨水は弱い酸性である。この水の酸性度は、土壌中を降下浸透するとき、腐敗物質から出る炭酸ガスを取り込んでさらに増加する。
『地下水と地形の科学 水文学入門』P.109-110より引用
ここでは鉄と炭酸ガスについての話でしたが、結局のところ「地下水」が様々な物質を含んでいる理由としては
- 雨水が地面に浸透
- 水、もしくは雨水に含まれる炭酸ガスが土壌に含まれる物質と反応
- 岩石を風化させる
- 地下を流れる続けることでさらに周囲の物質と反応
こういった地面に降った雨水が地下を流れていく過程で少しずつ周囲の物質と反応し、「地下水」に混ざっていくということでしょうか。
この内容も一度まとめてみたですが、それには岩石や化学の知識も必要となってきそうですね。引き続き勉強していきます。
発展を考える
もう少し地下水について知りたい
本書が「地下水」についての本1冊目でした。
ここまで取り上げてきていませんが、
- 地下水の速度
- 地下水ポテンシャル
- ガイベン・ヘルツベルクのレンズ
- トリチウム濃度
など地下水研究のツール的な内容が複数解説されていました。
ただ、現状そこまで手を広げられておらず、あくまで「地下水に関する文脈を掴む」程度の読み方しかできていないため、もう少し地下水入門書を読んでみて「文脈」を掴んでから学術的な内容にも目を通していきたいと思いました。
関連する読書メモ
まだありません
気になった言葉
後日調査したらリンクを追加予定です。
- 揚水
- 井戸
- コモンズの悲劇
ひとこと
「一般書」として我々の様な素人にもわかるように「地下水」について説明されている本であることが分かります。地下水に関する話題について、また水文学がどういった内容を取り扱っているのかをまとめて読めてよかったです。
ただ、本書が古い本を加筆修正したものであることも影響しているのか、「地下水入門書」として読むには内容の構成が向いていないようにも思います。
先程も書きましたが、素人向けの本であれば「言葉の定義と解説が他の内容と独立して明確に示されること」が”良い本”と呼べる条件ではないかと思っています。
ブルーバックスか何かで他の入門書に向いた本がないか探してみます。(この本だダメだ!と言いたいわけではありませんが…)