最近、「気候変動」についての本を読む機会があり、その影響なのか某通販サイトのおすすめに上がって来たので本書を読みました。
本書では、化石燃料を基にしたエネルギーの限界、うまく機能していない太陽光発電・バイオマス発電といった内容が示されていました。
中東情勢の影響で、良くも悪くも原油・ナフサをはじめ化石燃料に注目する機会も増えましたので、ある意味タイムリーかもしれません。
今回は『エネルギーを選びなおす』を読んで目に留まった要素を残しておきます。

- 著者
- 小澤祥司
- 訳者
- -
- 出版社
- 岩波書店(岩波新書)
- 発行日
- 2013年10月18日
この本について
どのような本か
ジャンル
社会、エネルギー
テーマ
現代社会のエネルギー状況の整理と、うまく機能していない日本の自然エネルギー利用の現状を考える
どんな人に向いているか
- エネルギーについて知りたい人
- バイオマス、太陽光発電について知りたい人
注目した要素
- 1
石油と電気中心の現代
採掘技術、灯油の精製技術確立により石油が普及する。エジソンによる伝統の発明、発電所の誕生により電気が普及した。そして、自動車によって石油がガソリンとして大量消費されるように - 2
オイルショック後
1973年以降の第一次オイルショックにより、先進国がエネルギー源の多様化を目指す。原子力、風力、バイオマス、天然ガスなど - 3
バイオマス
バイオマスはエネルギー密度が低い。場合によっては「取り出せるエネルギー」より「使用したエネルギー」のほうが大きいという逆転現象も起こる。日本はこういった性質を理解しないまま推し進めてしまい、持て余している?
所感メモ
本書を選んだ理由
特に確固たる理由で選んだわけではなく、ただ通販サイトのおすすめにあったので読んでみました。
エネルギーに関して漠然と関心はあったため、その入口として読んでみようと思ったことも要因です。
石油と電気
まず、何と言っても現代を生きていると
- 石油
- 電気
これらと縁遠い生活をすることはできないかと思います。それは本書でも述べられている通りですが、我々の体感とも一致していますよね。
本書でまとめられている「石油」へとつながる、歴代のエネルギー源の流れを超簡単に残しておきますと
- 木材中心:建築、造船、道具、肥料、飼料など様々
- 石炭:蒸気機関の発明で利用が拡大
- 鯨油:地下からの石油の掘り出しができない時代は鯨油で代用
- 石油(灯油):1859年の機械掘りの成功、という油精製技術の誕生で普及
- 石油(ガソリン):フォードによる自動車の普及、新しい精製法によりガソリンが普及
そして現在も、石油に代わる新しい燃料は模索しつつも結局はこの延長線上にいるというわけだと思います。
続いて、「電気の普及まで」の流れです。
- 電灯の発明:エジソンにより電球が発明され、ガス灯→電灯への移行を目指した
- 小規模な発電所:発電所から顧客の家まで電気を送り、一緒に電球を売るシステムをエジソンが提案
- 大規模な発電所:1980年代以降家電の発展に伴う需要拡大に合わせて発電所も大型化
こちらについても同様に、現代もこの円著線上にあると言えると思います。先程のガソリンの代替手段として挙げられてるのが「電気自動車」な時点で「電気」への依存はかなり強いものであることが分かりますね。
日本のバイオマス利用
本書では、日本が展開された太陽光発電とバイオマスについて、「機能不全」であるとして批判的な論調で書かれています。
ここではバイオマスについて簡単に残しておきます。
日本では、2002年に「バイオマス・ニッポン総合戦略」が閣議決定され、バイオマス戦力が広まっていきましたが、想定したような効果が挙げられなかったとされています。
その要因として、「バイオマスエネルギー」の性質への理解が不十分であったことが要因としてあったようです。
該当部分を引用してみます。
実証事業にも、身の丈に合っていないものが目立った。飼料米やら稲わら、もみがら、木質チップなどからのエタノール燃料製造などはどの典型である。石油高騰で、エタノールが国産燃料として注目されたのだが、そもそもバイオマスはエネルギー密度が低い、つまりかさばる上、資源は広く薄く存在する。しかも、加工度を高めるほど、エネルギーの”歩留まり”は悪くなる。場合によっては得られるエネルギーが収集・運搬・加工・精製過程に投入するエネルギーより小さくなってしまうというばかげたことが起こる。
『エネルギーを選びなおす』P.130より引用
これについては全く知らなかったため知ることができて良かったです。
バイオマス=エネルギー効率が悪い
(ちょっと意訳しすぎかもしれませんが)これは今後も覚えておきたい知識です。
そして、本書ではこれに引き続きバイオマスを活かせる方法として「電気ではなく熱を供給する」ことが挙げられています。
ヨーロッパの主要国を見ると、木質バイオマス発電のうち、スウェーデンとデンマークは一〇〇%がコジェネレーション(コジェネ)、つまり熱利用と発電を併用するプラントであり、木質バイオマス発電の盛んなフィンランドでは八五%、オーストリアでは六七%、ドイツでも四〇%がコジェネだ。そのほとんどは地域熱供給向けで、コジェネ以外に熱単独のプラントも多数ある。EU諸国全体では木質バイオマスの九割以上が熱用途に利用されている。寒冷なヨーロッパでは熱需要が大きいという事情はあるにしても、電気よりむしろ熱を優先した利用形態になっていることがわかる。
残念ながら、日本では地域熱供給インフラが整っていないため、コジェネ発電所を建設しても現実には熱の使い道がない。
『エネルギーを選びなおす』P.141-142より引用
偶然なのかもしれませんが、ヨーロッパでは自国の気候に合わせて木質バイオマスの特性を生かして、電気も排熱も無駄にしないようなプラント設計、地域選定、熱供給網の整備を行ったうえで有効に利用しているようです。
これに対して日本では「バイオマス利用を進めること」が目的となってしまい、バイオマスの性質を理解しないまま導入を急いだため、バイオマスを活かせず持て余してしまっている地域が多い、というように読めます。
こんなことに国民の税金が投入されたと?ちょっと考えてしまいますね。
発展を考える
まずは石油から
エネルギーについての本1冊目でした。
余裕が出てきたらエネルギーについても調査してみたいと思いますが、テーマが漠然としていて手が付けづらいため、まずは「石油」に絞って調べてみたいと思います。
石油に限らずですが、地政学的な内容が大きく絡んでくることが予想されますのでそういった方向へも散らばってしまうかもしれませんが…
何にしても、現状世の中が石油に大きく依存していることは紛れもない事実ですので、せめて現状をしっかり学んでおくことは無駄にはならないでしょう。
正直知ったところで私個人でどうにかできる範囲を超えている内容ではありますが、代替エネルギーについても知見を広めておけると今後の意思決定が下せるのかもしれません。
関連する読書メモ
・『森林の崩壊』
こちらは林業の本です。バイオマスと関連して、木につい手の話題もありましたが、「日本が何かを推し進めようとするが、ガラパゴス的な法整備をしてしまい自縄自縛」という構図が似すぎていて頭を抱えたくなります。もちろん、「揚げ足とられないように」行動を取ってしまう気持ちはわかるんですが…
気になった言葉
後日調査したらリンクを追加予定です。
- 石油
- バイオマス
- コジェネ
- 太陽光発電
ひとこと
エネルギーについての本1冊目でした。
バイオマス発電所など、何となく「環境に良い」という様なイメージを持っていましたが、うまく回っていないことを知ってなんだか見る目が変わりました。
太陽光パネルについてもあまりいい話題は聞かない昨今、石油に代わるエネルギーの問題は改めて根深いものだと思いました。