その山を見上げて

読書と思考を積み上げていきます。

『太平洋 その深層で起こっていること』──太平洋の循環と海底

前作『日本海 その深層で起こっていること』を読みましたので、引き続き「太平洋」を題材とした本書を読みました。

本書では、太平洋の海水の循環、海底の構造、研究の歴史といった内容が示されていました。

今回は『太平洋 その深層で起こっていること』を読んで、目に留まった要素を残しておきます。

書籍情報
『太平洋 その深層で起こっていること』の書影
『太平洋 その深層で起こっていること』
著者
蒲生俊敬
訳者
-
出版社
講談社(ブルーバックス)
発行日
2018年08月22日
※書影は出版社公式サイトより引用
目次

この本について

どのような本か

ジャンル

自然科学

テーマ

海水の循環と海底の構造、その研究の歴史から太平洋について知る

どんな人に向いているか

  • 海について知りたい人

注目した要素

  1. 1

    日本は「超深海」大国
    日本のEEZは日本海溝、伊豆・小笠原海溝、南西諸島海溝などにまたがっている

  2. 2

    太平洋の循環
    貿易風に海面が引っ張られることで生じる風成循環である、「亜熱帯循環」と「亜寒帯循環」

  3. 3

    太平洋のプレートテクトニクス
    太平洋東側の海嶺から噴き出したマグマがプレートを作り、西側の海溝に沈み込んでいく

所感メモ

本書を選んだ理由

前作『日本海 その深層で起こっていること』を読みましたので、せっかくならその続編である「太平洋」を題材とした本書も読んでみようと思いました。

ただ「太平洋」と言ってもそこに含まれる情報量は莫大ですので、一冊の本としてどういった内容が扱われるか興味がありました。

日本は「超深海」大国

日本のEEZ(排他的経済水域)には太平洋でも有数の海溝が含まれています。

Googleマップで縮小して見れば必ず視界に入っているはずですし、同様の内容に言及する内容に触れたこともあったはずですが、今回改めてこちらを認識しました。

次の項目で書きますが、太平洋のプレートテクトニクスは地球の仕組みを考える上でも大きな役割を担っています。その一旦である「海溝」が自分の住んでいる国のすぐ隣(と言っても物理的に距離はありますが)に存在しているというのは、なかなか恵まれた立地なのかもしれません。

 わが国のEEZが、世界で6番目の広さをもつことをご存じの方も多いでしょう。そのEEZが、日本海溝、伊豆・小笠原海溝、南西諸島海溝など、西太平洋の代表的な海溝にまたがっていることにお気づきでしょうか。

 各国のEEZを、面積ではなく体積(つまり海水の量)で比べてみると、面白いことがわかります。海洋政策研究所の概算によれば、わが国の保有するEEZの体積は一躍、世界の4番目にランクされます(1位:アメリカ、2位:オーストラリア、3位:キリバス)そして6000メートル以深の「超深海」に話を限れば、なんとわが国が世界で一番なのです。

『太平洋 その深層で起こっていること』P.8-9より引用

だからと言って、我々一般人が「よし見に行こう!」と言って行ける場所ではありませんが、折角こういった恵まれた地理的条件の国なわけですので、日本が海溝の研究をリードしていってくれたら一国民としてもうれしいなと思います。

「柔らかい」と「堅い」太平洋

本書では

  • 「柔らかい」:海水の循環
  • 「堅い」:海底の構造

という2方面から太平洋について取り上げられています。

太平洋の循環について

太平洋では風に引っ張られることで海水が動く「風成循環」に該当する

  • 亜熱帯循環
  • 亜寒帯循環

の2つが存在しています。特徴についてもまとめてみると

  • 「亜熱帯循環」:暖かい海流、時計回りであり、日本近海の一部が「黒潮」と呼ばれる
  • 「亜寒帯循環」:冷たい海流、反時計回りであり、日本近海の一部が「親潮」と呼ばれる

そして、この風成循環とは別に「熱塩循環」も存在しています。

太平洋に限らず、地球上の海洋を広く循環している「ブロッカーのコンベアーベルト」(=海洋大循環?)という循環が存在し、「太平洋」としては、その一部分を切り取って見ることになりますが、

  • グリーンランド付近で沈み込んだ海水がインド洋の最深部を経由して太平洋に到達する
  • 太平洋で上層の低密度の海水と混ざりながら浮き上がる

ということで、太平洋は「海洋大循環の終点」とも言える場所と言えそうです。(循環なので終点はありませんが)

海底の構造

続いて、太平洋の海底の構造についてです。

先程も少し書いた通り、太平洋においてもプレートテクトニクスの仕組みがしっかりと働いています。

  • 東部にはプレートの基となる「マグマ」の供給源として東太平洋海膨、太平洋南極海嶺といった「中央海嶺」が存在する
  • 西部には海洋プレートが大陸プレートの下に沈み込む「海溝」が複数存在する

このように太平洋は東に「海嶺」を、西に「海溝」を複数抱えており、東から西に向かって「下り坂」になっているとされています。

 世界で最も活動的な海底火山山脈(中央海嶺)が、太平洋の東部をほぼ万僕に貫き、その山頂からマグマを噴き出して新しい海底(プレート)をつくっています。プレートは、年間10センチメートルの速さで中央海嶺軸の東と西に拡がっていきます。

(中略)

 さて、太平洋を東から西へと横断したプレートは、西大西洋で大陸のプレートにぶつかり、その下側へと沈み込みます。そこが、「海溝」とよばれる細長い深淵部です。そして、海溝のさらに西側には「島弧」と名のついた活発な火山群が、海溝とほぼ平行に並んでいます。

『太平洋 その深層で起こっていること』P.6-7より引用

プレートテクトニクスは、大陸を動かし、山をつくり、、、と地球の動きを司る仕組みであり、その沈み込み地点の近くに存在する日本が地震大国である原因でもあります。

そして、近いうちに起こるとされている南海トラフ地震も太平洋由来の地震かと思います。(フィリピン海プレートがユーラシアプレートに沈み込む場所)

そんな事情もあり、太平洋のプレートの動きはしっかり押さえておきたいです。

発展を考える

海底の仕組み

今まで何冊かこういった「地球科学」系の本を読んでいますが、「プレートテクトニクス」はほぼ必ず現れる必修の内容ですね。

そして、本書の様に太平洋に存在する「海嶺」から始まって「海溝」に沈み込むまでの過程は自分の言葉で説明できるようにしておきたいなと常々思っています。

今までは

  • 「本の内容が先にあり、そこから内容を得ようとする」

という経路で読書をしていましたが、そろそろ

  • 「特定の内容について知るために本を読む」

という「シントピカル読書」的な読み方ができるような段階が来たかな?と少し思いました。この内容については、ですが。

  1. 今で読んだ本、未読の本をかき集め
  2. 特定の内容についてすくい読み
  3. 内容を抜き出して並べる
  4. 自分の言葉でまとめる

時間に余裕ができたらこの一連の流れをやってみたいと思います。

でも、ブログとしてはどうまとめると良いんだろうか?

関連する読書メモ

・『水の惑星「地球」』

地球単位で見た「水」の循環についての本です。海洋の循環と合わせて、プレートテクトニクスによってマントルに取り込まれる水についても取り扱われるため、本書と似たような内容が見られます。太平洋は地球上で最大の海洋ですのである意味当然かも?

bookandthink.com

・『海はどうしてできたのか』

地球の誕生から現在の海の誕生までの過程を取り扱った本です。現在我々が知っている海が形成される過程で「プレート」の誕生も重要な要素となっていますので、本書の前段階として良いかもしれません。

bookandthink.com

気になった言葉

後日調査したらリンクを追加予定です。

  • プレートテクトニクス
  • 海嶺・海溝など

ひとこと

現在自分の欲しい情報ではなかったため、本ブログ記事では書いていないですが、筆者の「海底火山」や「超深海」の調査に関するエピソードが豊富に載っています。

というか、どちらかというとそちらが本書の主題なのかもしれません。これら内容についてもかなり面白いので読んでみてください。