「建築」について学んでみたいと思い本書を読みました。
本書では、建築の3原理、建築家の仕事、社会情勢から受ける影響といった内容が示されていました。
今回は『教養としての建築入門 見方、作り方、活かし方』を読んで、目に留まった要素を残しておきます。

- 著者
- 坂牛卓
- 訳者
- -
- 出版社
- 中央公論新社(中公新書)
- 発行日
- 2023年7月20日
この本について
どのような本か
ジャンル
建築
テーマ
「見る」「作る」「活かす」という視点から建築について学ぶ
どんな人に向いているか
- 建築家の思想を知りたい人
注目した要素
- 1
建築の三原理
ウィトルウィウスが『建築書』で提唱した。「用・強・美」 - 2
哲学・思想・社会情勢からの影響
建築はその時代の思想・哲学・政治などの影響を受けて建築様式も評価も変わる - 3
「見る」「作る」「活かす」
「見る」ことで知見が蓄えられ、「作る」建築家へと到達する。歴史家・社会学者・経済学者の意見がフィードバックされ次の設計に「活かされる」
所感メモ
本書を選んだ理由
「建築」について学んでみたいと思い本書を読みました。
と言っても、「建築」がキーワードでは範囲が広すぎるので、「概論」的に広く浅く学べないかと思い本書を選んでいます。
建築の三原理
本書を読んで一番面白いと思った内容です。
ローマ時代の建築家ウィトルウィウスが著書『建築書』で提唱した考え方とのことです。
- 用
- 強
- 美
の3つが建築の基本原理となるようです。
これは現代でも引用されるような内容でもあり、大学での建築の教育にも使用されるほどに建築の世界に定着した原理のようです。
(前略)工学部の建築学科の教育分野は大きく三つに分かれている。1つめは建築の設備や環境の分野、二つめは建築の基礎や柱梁などの構造の分野、三つめは建築の意匠、計画、歴史の分野である。(中略)
一つめの設備や環境の分野は、使う人の使用に関係することなので、これは「用」に分類される。二つめの構造の分野は、建築の強さに関係するので、「強」に属する。そして三つめの意匠の分野は「美」に、計画は「用」に、歴史は「美あるいは用」に分類される。美術学部では美に、家政学部絵は用に重点が置かれそうなものだが、建築を学ぶ大学生は皆、三分野を包括的に学ばなくてはならない。
『教養としての建築入門』P.20-21より引用
そう考えると、「建築について学ぶ」というのはなかなか難しいのかもしれません。
使う人のことを一切考慮しない家であれば当然顰蹙を買うでしょうし、強度がない家であれば地震の多い日本では法律で建てられないでしょう。
そして「美」、これが一番難しいですね。
建築は社会情勢の変化をかなり強く反映するようで、「美」については哲学や思想の変遷を追いかけるような内容を読むこととなり、正直なところ「これが読みたくて買ったんじゃない」という感想を抱いてしまいました。
もちろん、建築を学ぶ上で大切な要素でしょうし、歴史や思想と建築が切り離せないものであることも分かります。
しかし、一般向けに「基礎」を学ばせる目的の本でこれをやってしまうと「初見バイバイ」になりかねないですね……。
いずれにしても、「用・強・美」の”建築の三原理”は覚えておきたいです。
見る・作る・活かす
本書の副題にもなっている内容です。
建築に直接関連する内容ではないかもしれませんが、本書を読んで収穫だと思った内容ですので書いておきます。
本書は基本的に
- 建築の見方
- 建築の作り方
- 建築の活かし方
という3つの視点から話が展開されていますが、そういった構成を取った理由についての記述を引用してみます。
建築を「見る」人多津は、建築を前にして何かしらの感想を持つだろう。もしかすると単に見るだけではなく、それを毎日職場として使い、あるいは住宅として住んでいるかもしれない。だからそこで見たもの、経験したことはその人なりの満足感があり、上司や家族といった他人に感想を述べることもあるだろう。あるいは周りの人からその満足度を聞くこともあるはずだ。そして、そうした感想は自然と「作る」建築家にまで到達する。
建築の活かされ方を感得した研究者たちは、建築を歴史的、社会学的、経済学的に叙述するであろう。分析の範囲は広く、彼らの専門分野の知見を駆使したものとなる。
(中略)
つまり、「見る」と「活かす」は、「作る」にフィードバックされ、「作る」建築家の次なる設計の指針を方向づける。
『教養としての建築入門』P.226より引用
これは建築でなくとも当てはまる内容でしょう。
- 見て学ぶ
- 作る側になる
- 専門家のフィードバックを得る
- 作る側の次の設計に反映される
これは何かを習得するときの基本的な流れと考えて良いでしょう。
まずは見て学び、作ってみることから始める。そしてフィードバックを得て成長する。
建築とは直接関係ありませんが、この分野もまた普遍的な原理に基づいて動いているということで、覚えておこうと思いました。
発展を考える
「美」の話は難しい
正直な感想としては「ちょっと思っていたのと違ったな」というものでした。
- 建築物の構造の説明
- 文化と建築物の関係(これは少し言及あり)
- 気候風土に沿った建築
などといった情報が欲しいと思っていたのですが、さすがに「概論」的な本であるため思想や哲学・仕事の進め方といった内容が中心でした。
また、「美」についての記述は哲学的な内容や変遷ががっつり絡んでくるので難しく、読みづらく感じてしまいました。
建築の「基礎」と称されており、これも重要な内容ではあるのでしょうが、現在求めている情報とは少し違ったため優先順位は若干低めで行きたいと思います。
やはり、特定分野の特定情報を求めているならその内容を取り扱っている本を直接探しに行った方がいいですね。
ただ、基礎を持っていた方が発展的な内容を理解しやすいでしょうし、基礎がなければ上っ面の情報しか掬えなくなってしまうので難しいです。
バランスよく読んでいくしかないんでしょう。
関連する読書メモ
・『森林の崩壊』『森林で日本は蘇る』
日本の林業・建設業の現状について取り上げた本です。日本には国内の木材需要を賄えるだけの森林が存在するのに手入れがされず荒廃している。日本の伝統的な木造建築は建築基準法を満たせず立てづらくなっている。などの記述がありました。
気になった言葉
後日調査したらリンクを追加予定です。
- 建築
ひとこと
概論的な本を読んだ際にありがちな結末ですが、”建築”的な内容は余り拾えませんでした。ただ、期待していた内容とは違いましたが
- 建築の三原理
- 「見る」「作る」「活かす」
等、面白い内容を読めたと思います。
「美」についての内容は難しいですが、概念としては知っておきたいものですので優先順位は低めですが少しずつ調べてみたいと思います。