海についての本を読んでいく中で漠然と「波」について学びたいと思い本書を読みました。
本書では、風波・津波の性質や「波が海底を感じているか」という視点から、「波」についてわかりやすく説明されていました。
今回は『謎解き・津波と波浪の物理 波長と水深のふしぎな関係』を読んで、目に留まった要素を残しておきます。

- 著者
- 保坂直紀
- 訳者
- -
- 出版社
- 講談社(ブルーバックス)
- 発行日
- 2015年07月17日
この本について
どのような本か
ジャンル
自然科学
テーマ
風波と津波の伝わり方や海底との関連性など「波」について学ぶ
どんな人に向いているか
- 波について知りたい人
- 津波の性質を知りたい人
注目した要素
- 1
波の種類
①深水波:水深が波長の半分より深い(海底を感じていない)
②長波:波長が水深の25倍以上(海底を感じている)
③浅水波:深水波と長波の中間(海底をそこそこ感じている) - 2
海底を感じる
「海底を感じているか」で波の性質が変わる。海底を感じている程、波の下にある水の上下方向の動きが制限される - 3
津波
津波は海底の大きな隆起・沈降によりその上の水が動くことで発生する。波長が非常に長く「長波」としての性質が大きな被害をもたらす
所感メモ
本書を選んだ理由
海についての本を読んでいますが、まだあまり触れられていない内容として「波」について学びたいと思いました。
また、本書と同じ著者の『謎解き・海洋と大気の物理』がとても分かりやすく良い本であったため、同シリーズの本書を選びました。
波の種類と「海底」
本書の主題の一つである波の種類についてです。
波の種類については以下の要素、
- 波長
- 水深
この関係が重要になるとされています。
この波長と水深の関係により、水面を伝わるその「波の下にある水の動き方」に違いが表れていきます。
超簡単に書くと
- 波長<水深:水深が深いため、海底付近では波の影響は無視できる程度
- 波長>水深:波長が長いため、海底の影響を受けて波による水の上下運動が制限される
この考え方について、本書では「海底を感じる」と表現がされています。波長が長く、海底付近まで届くような波は「海底を感じている」というわけです。
これが本書独自の表現なのか、世の中でもそういった表現が使われているのか分かりませんが、イメージを持つ上でとても有効だと思いました。
そして、波長と水深の関係によって分かれる、波の3分類を書いておきます。
①深水波
・水深が波長の半分より深い
・海底を感じていない
・波の下の水は円運動をする
・分散性があり波長が長いほど伝わるスピードが速い
②長波
・波長が水深の25倍以上
・海底を非常に強く感じている
・波の下の水は上から下まで水平の往復運動
・分散性がない
・水深が深いほど伝わるスピードが速い
③浅水波
・深水波と長波の中間
・そこそこ海底を感じている
・波の下の水は楕円形に動く
津波について
続いて津波に関する知識についてです。
- 津波は海底の急激な変化で水が動くことで発生する
- 被害をもたらすような大規模な津波は波長が長い
- 「長波」の性質を持つ
- 沖合を進んでいる間は水深が深いほどスピードが速い
- 沿岸に近づき水深が浅くなると波長が高まりは波形がつぶれ、波高が高くなる
- 後ろからスピードの速い波が覆いかぶさり、先端が切り立った「水の壁」が陸に押し寄せる
まだまだ津波に性質に関する記述はありますが、基本的にはこんな所です。
人間が住んでいるような陸地に被害をもたらすような規模の大きな津波は、海底の広範囲の急激な変化によって発生するため波長がとても長く「長波」の性質を持つ。
これにより陸地にはとても波高の高い「水の壁」となって押し寄せることとなってしまうということですね。
また、津波の高さは様々な数値で表現されるようです。
- 津波の高さ:海岸線に押し寄せた津波が平均的な水位からの高さ
- 遡上高:陸に上がった津波がどの高さまで到達したかを示す高さ
- 痕跡高:遡上途中の建物について水の跡の平均潮位からの高さ
- 深水高:地面から水の跡までの高さ
おもにメディアで報道されるのは「津波に高さ」と「遡上高」までとのことですので、これらも覚えておくとより正しく津波に関する報道を理解できそうです。
発展を考える
津波について調べる?
本書は「波」について取り扱っている本でした。
地球科学系の本から「海」の本に移っていきましたが、あまり「波」に関する記述が登場する本はあまり無かったため本書を読んでみました。
波の伝わり方や海底との関りなどがあることが分かりました。とても面白い内容でしたが、正直ここからどんな知識に発展できるか、というイメージがわきませんでした。
「波」という見方をするのであれば正直本書一冊でも十分堪能できたように思います。本書は数式を使った説明は排除されていますので、そういった部分まで求めている方はさらに深掘りたいのでしょうが、私は現状これで十分でした。
というわけで、本書の発展として何かを調べるというのであれば「津波」かなと思いました。
本書でも津波の高さや測定の話が登場しており、防災への備えという意味でもそういった知識を追ってみるのは有効かもしれないと思います。
関連する読書メモ
・『謎解き・海洋と大気の物理』
本書と同じ著者の「謎解き」シリーズの本です。こちらは海洋循環と大気、そして「コリオリの力」について一般人にもわかりやすく説明されています。「海洋」「大気」「気象」といった内容を学ぶのであればこの本は最初の一冊として最適ではないかと思います。
・『海の教科書』
「海」について広く取り扱った本です。この本でも「波」についての内容が扱われています。ただ、説明が若干難しいため、本書『謎解き・津波と波浪の物理』を先に読んだ方がよさそうです。
気になった言葉
後日調査したらリンクを追加予定です。
- 津波
ひとこと
「波」についてわかりやすく解説された本でした。
津波の知識については学ぶ機会があまりないこともあり、新鮮に感じられました。