「建築」について学びたいと思い本書を読みました。(それが適切だったかは別として)
本書では、日本での「歴史的建築物」の価値が認めら、保存されるようになった過程について解説されています。
今回は『日本の歴史的建造物』を読んで、目に留まった要素を残しておきます。

- 著者
- 光井渉
- 訳者
- -
- 出版社
- 中央公論新社(中公新書)
- 発行日
- 2021年02月24日
この本について
どのような本か
ジャンル
社会、建築
テーマ
歴史的建築物の評価・保存・活用の歴史について知る
どんな人に向いているか
- 古い建築物の活用について知りたい人
注目した要素
- 1
古い建築物が残っていた理由
日本では、異民族の侵入による国内での大規模な戦争が無かったこと、建築物の管理、修理をする文化があったことで古い建築物が現代まで残っていた - 2
保存と修復の開始
明治以降、古社寺の存在を把握しようとする動きが始まり、明治末期から大正にかけて修復し保存するという動きが活発になった - 3
点から面へ
ここの建築物だけでなく町並みを重視する動きも始まった。奈良の平城京や京都の町並みの事例など。町並みとしての「古都のイメージ」を守るため古都法が成立
所感メモ
本書を選んだ理由
「建築」について学びたいと思い本書を手に取りました。
とはいえ、建築の専門書を読むような技量はないため、一般書の中から「建築」という言葉を含む本を色々探してきて読んでいるという状況です。
本書はその2冊目となります。
首里城修復
本書は歴史的建築物の保存や活用に関しての本でした。
- 評価されるようになるまでの流れ
- 保存や修復の歴史
- 町並みへの拡張
といった内容で展開されていました。
そして、個人的に上手くいっていた事例なのかなと感じたのが首里城の修復についてでした。
結局のところ2019年の火災によって焼失してしまい、現在修復が続いているということですが、戦時中の消失を経験し戦後の修復される際にかなり上手に活用され他のではないかと思いました。
首里城の修復の流れを簡単にまとめると
- 元々は琉球王国の宮殿
- 1879年に琉球処分で尚泰王が退去
- 荒廃し、学校に転用されたい取り壊しも検討される
- 1925年に古社寺保存法に基づく特別保護建造物に指定される
- 1932年に修復される(この時詳細な調査がされる)
- 1945年にアメリカ軍による艦砲射撃で焼失
- 1958年に守礼門のみが再建される
このような経緯で最初の修復→焼失→再建がされるようになったようです。
以上のような首里城正殿の再現に至る経緯とその果たした意味を再確認してみると、焼失から債券にいたる期間の長さこそ異なるが、和歌山城天守や広島城天守と同様の性格を示していることを理解できる。その意味では首里城正殿も復興天守の一つといえよう。
ただし両者には決定的な差がある。戦後の復興天守では、構造は鉄筋コンクリートで内部は博物館・展望台施設となっていて、あくまでも現代的な公共施設として位置づけられていた。都市のシンボルとなる外観のみが歴史性に依拠しているのである。
一方、首里城正殿は構造も内部空間も素材も完全に再現しており、何かを展示するための施設ではなく、存在自体を見せるものとなっている。こうした性格であるため、見る側の意志としてはオーセンティックな歴史的建造物と等価な存在となったと言っても過言ではない。そのまま維持されていれば、五十年、百年後には本物と見極めが困難になるレベルのものなのである。
『日本の歴史的建造物』P.147-148より引用
価値が評価された結果、修復された建造物や再建された建造物はいくつかあるようですが、
- 細部の記録がなくある種想像で修復されたもの
- 西洋の技術を取り入れたことで古材を破棄されてしまったもの
- 見た目だけ再現して中身は全くの別物になってしまったもの
など、様々な事例がある中で、首里城は外部も内部も再現され歴史的価値のある建築物として再建されており、修復・再建の事例としてかなり評価の高いものだったのではないかと思いました。
町並みとしての価値
建物単体での保存・修復が発展していった結果、続いて「町並み」としての価値が見いだされ保存・活用されていった事例も紹介されれいます。
- 奈良の平常宮跡の再現
- 京都・鎌倉の景観保全
- 倉敷の町並み保存
- 高山の町並み保存
ただ、こういった流れは国が主導で始まるというよりは、学術団体や市民の活動から始まって発展していったものであるようです。
その延長で1966年に「古都における歴史的風土の保存に関する特別措置法」(古都法)が成立することになりました。
この古都法が保存の対象としたのは「歴史的風土」である。歴史的風土という概念は、歴史的建造物や遺跡、あるいは自然的環境の存在を前提としてはいるが、あくまでも「土地の状況」を指すものである。大規模な住宅地開発などによって土地の状況が激変することを防止するのが古都法の目的なのである。
『日本の歴史的建造物』P.217より引用
ヨーロッパでは自国の文化を守るために都市計画をきっちり定めて街作りをおこなっているという話は聞きますし、それによって「その国ならでは」の町並みが保存されているのだろうと思います。
日本でもこのような法が存在はしていますが、その対象となる地域は限られています。自国の文化を失わないように、と考えるのであればこういった考えを国単位で実施していかないといけないのでしょう。
発展を考える
「建築」はどう学べばいいのか
本書は歴史的建造物の評価の始まり、保存や修復、活用の始まりといった歴史の流れを追う様な本でした。
建築というよりは、建築物を取り巻く社会情勢に焦点を当てた本だったのではないかと思います。
正直いまいち自分のものにならなかった部分も多いですが、これはこれでとても面白く、興味深く読むことができました。
とはいえ、本来の目的は「建築」について学ぶことです。
もちろん目的が漠然としすぎていて方向性がつかめないことも原因ではあるのですが、「教養として建築を学ぶ」という今の目的の難しさも実感しています。
結局何から手をつければいいのか分からず迷走しまくっている状況です。
- 知識が無さすぎるがゆえに概論的な本もよくわからず
- かといって専門的な内容を追おうにも足掛かりになる知識がない
とはいえ急ぐ旅でもありませんので、これからも「建築」というワードを含む本をとにかく手に取って広く浅く「何となく見たことあるな」という知識を増やしていってみようかなと思います。これはこれで面白いですね。
関連する読書メモ
・『教養としての建築入門』
建築入門というタイトルですが、どちらかと言えば「建築業」入門といった感じでしょうか。建築物にはその時代の価値観が反映されることが多いためか、思想や哲学の移り変わりを追うような内容が多かったのが印象的でした。
気になった言葉
後日調査したらリンクを追加予定です。
- 建築
ひとこと
歴史的建築物の評価、保存、修復、活用といった観点からの本でした。
旅行が趣味であったり日本の歴史に詳しい方であればまた違った視点から楽しめるのではないかと思ました。