その山を見上げて

読書と思考を積み上げていきます。

『図解・プレートテクトニクス入門』──「入門」書とは思えない密度

「地球科学」について調べる一環として本書を読みました。

本書では、プレートテクトニクスという考え方が定着するまでの研究の流れや仕組み、それによって引き起こされる地形形成や地震といった内容が解説されています。

今回は『図解・プレートテクトニクス入門』を読んで、目に留まった要素を残しておきます。

書籍情報
『図解・プレートテクトニクス入門』の書影
『図解・プレートテクトニクス入門』
著者
木村学,大木勇人
訳者
-
出版社
講談社(ブルーバックス)
発行日
2013年09月20日
※書影は出版社公式サイトより引用
目次

この本について

どのような本か

ジャンル

自然科学

テーマ

プレートテクトニクスの原理とその影響を学ぶ

どんな人に向いているか

  • 地学に興味がある人
  • プレートテクトニクスについて学びたい人

注目した要素

  1. 1

    プレートテクトニクス論まで
    1915年ウェゲナーの「大陸移動説」に始まり、「海洋底拡大説」が登場、それがさらに発展し「プレートテクトニクス」という理論として提唱され始める。

  2. 2

    リソスフェアとアセノスフェア
    地球の岩石圏を硬さで分類したもの。プレートは表層の硬い岩石圏リソスフェアであり、その下にあるやわらかい岩石層がアセノスフェアである。プレートはやわらかいアセノスフェアの上をすべるように動く

  3. 3

    プレートテクトニクスの影響
    プレートの沈み込み帯では陸(火山フロント)ができ、また水平方向の力がかかり逆断層が形成される。付加体により陸ができる。プレートの衝突により山が形成される。プルームの上昇によって大陸を引き裂く。地震を発生させるなど

所感メモ

本書を選んだ理由

「地球科学」について学ぶ一環として本書を読みました。

また、今まで地球科学系の本からプレートテクトニクスについて学ぶことが多かったため、まとめの意味も込めて本書を選びました。

海洋プレートのでき方理解するには

本書はプレートテクトニクスに特化した本ということで、プレートの動きの原理や海洋プレートを生み出す海嶺の仕組みなども少し踏み込んで説明されています。

(そのため「入門」とタイトルにある割には初学者にはかなり厳しい構成になってしまっているようにも感じますが……)

いままでもプレートテクトニクスを取り扱った本は読んできていますが、あまり大きく取り上げられていなかったような内容もありましたので残しておきます。

  • リソスフェア
  • アセノスフェア
  • アイソスタシー

これらの考え方はかなり重要になってくるように思いました。

リソスフェア・アセノスフェアは地球の岩石圏を硬さで分けた場合の区分のことであり、簡単に説明を引用してみると

  • リソスフェア:硬い表層の岩石圏(=プレート)
  • アセノスフェア:リソスフェアの下にあるやわらかい岩石層(上部マントルの流動性のある部分のこと)
  • アイソスタシー:地球表面の軽い岩石が、その下の重くて流動性のある岩石に浮いているという原理を指す言葉。

このようになります。アイソスタシーは様々なところで耳にはしますが、リソスフェア・アセノスフェアは今まであまり注目してこなかった内容でした。

そしてこれを基に、海洋プレートのでき方を考えると

  1. 海嶺でプレートが両側に離れることで裂け目ができる
  2. その裂け目を埋めるようにアセノスフェア(マントルの流動性のある部分)が上昇する
  3. マントルを構成する橄欖岩が上昇による減圧と水の添加により玄武岩質マグマができる
  4. 玄武岩質マグマが上昇しマグマだまりをつくる
  5. 冷えて固まった玄武岩質マグマの地殻+溶け残ったマントルが冷えたもの=海洋プレートとなる
  6. プレートの下のアセノスフェアも冷えて固まりリソスフェアとなる、それも加えてプレートが厚く(100km程度)なる

今までは漠然と「海嶺から放出されたマグマが冷えてプレートができる」位にしか言えませんでしたが、これによりかなり補強されたように思います。

ただ、これでもまだ本書の説明をかなり掻い摘んだもので、橄欖岩→玄武岩への部分融解、プレートが動く仕組みなど腹落ちしていない部分が複数あります…。

本当に入門書のボリュームですか?これは。

プレートテクトニクスと地溝帯

今まで目にしながらもつい「海洋プレート」の仕組みにばかり目が行ってスルーしがちだった内容です。

今現在アフリカ大陸を引き裂いている「大地溝帯」についての話です。

そもそも、プレートテクトニクス理論ができる基になった考え方はウェゲナーの「大陸移動説」でした。

ということは、海洋プレートに限らず大陸にも影響を及ぼすこともあるわけで、その理論を無視してしまっていたことになってしまいます。

大陸を引き裂く原理として「マントルオーバーターン」という仮説が存在するようです。

  1. 沈み込んだプレートが上部マントルと下部マントルの境界で滞留し、大きなかたまり”メガリス”になる
  2. メガリスが長い時間をかけて密度の高い岩石に相転移し、周囲より密度が高くなり落下
  3. 落下したメガリスの分を補うように下部マントルが上昇(マントルの対流)
  4. これによりマントル対流のパターンが大きく変わる
  5. 新しいマントルの上昇(スーパープルーム)によって大陸が引き裂かれる

このような仕組みによって、「プレートテクトニクスにより大陸が引き裂かれる」という現象が発生するようです。

そもそもメガリスが生まれるのは海洋プレートが動き、大陸プレートの下に沈み込むことがきっかけですので、これで海と陸がつながります。

そして本筋に戻り、現在起こっている大陸の分裂について

 現在の地球上でも、大陸が分裂し始めているところがあります。それはアフリカ大地溝帯とよばれる地域です。人工衛星からの画像や地図を見ると、この地帯には、地溝に沿って湖の列が形成されているのがわかります。地溝の崖の落差は1500mもあり、地溝内部には火山活動が見られます。アフリカ大陸は、大地溝帯で分裂しかかっています。

『図解・プレートテクトニクス入門』P.122より引用

アフリカの地下には「アフリカスーパープルーム」というものが存在し、これが大地溝帯と関連していると考えられているそうです。

このように、現在でもしっかりと

  • 海洋プレートがつくられ
  • 大陸プレートの下に沈み込み
  • 溜まったプレートが沈み込むことでマントルの対流パターンが変わり
  • スーパープルームにより大陸が引き裂かれて動く

というサイクルが続いているということですね。

発展を考える

まだまだ奥が深いプレートテクトニクス

本書はプレートテクトニクス専門の本であり、今まで学んできたプレートテクトニクスの総まとめくらいのつもりで読みました。

ただ、読み始めるとなかなか難しい内容も多く、リソスフェアとアセノスフェアや岩石の話など、深く掘り下げられるとついていけない部分も多くありました。

あくまで一般書をつまんでいる身ではありつつ、少しプレートテクトニクスについて「ちょっと分かったつもり」位にはなっていましたが、まだまだ先は長そうだと思いました。

前にもどこかで書いたと思いますが、岩石や化学、大地溝帯の話などプレートテクトニクスの理解をする上で足りていない内容が多いことも改めて感じたため今後はそこも深めていきつつ引き続きプレートテクトニクスについて学んでみたいと思います。

関連する読書メモ

・『三つの石で地球がわかる』

橄欖岩、玄武岩、花崗岩の3つの特徴から地球の構造を理解しようとする本です。今回の『図解・プレートテクトニクス入門』でも近い内容が登場しますがリソスフェア・アセノスフェアの考え方も合わさってかなり難解です。本書は先に読んでおいた方がいいでしょう。

bookandthink.com

・『海はどうしてできたのか』

海の形成過程について学ぶ本です。マグマオーシャンから始まり現在我々が知っている海になるまでの過程が取り上げられていますが、「アイソスタシー」と「プレートの形成」など本書につながる内容も多いため、先に読んでおいた方がいいかもしれません。

bookandthink.com

・『山はどうしてできるのか』

山の形成過程について学ぶ本です。こちらにもプレートテクトニクスが絡んでくる部分が多いため、併せて読んだ方がいいかもしれません。

bookandthink.com

・『日本列島100万年史』

日本列島の「地学的な見どころ」をまとめたガイドブック的な本です。ただ、日本列島の形成についてもかなり紙面が割かれており、特に「火山フロント」の話はこの本から入ったほうが理解しやすいと思いました。

bookandthink.com

気になった言葉

後日調査したらリンクを追加予定です。

  • プレートテクトニクス
  • 大地溝帯

ひとこと

総まとめのつもりで読みましたが、知らなかった内容・触れて来なかった内容も複数出てきており、まだまだ調べることは多そうだと思いました。

本書はプレートテクトニクスの入門書的な立ち位置を目指して書かれた本のようですが、その割には初見の人間には難しい内容も多く、他の地学系の本を何冊か読んでから出ないと難しいようにも思いました。